サイボーグな彼女 8

わからない？ 1 ページ37

少し遡って11月。

いよいよ映画のプロモーションが本格的に。


これからは映画の広告担当の人とやり取りをするので
武田さんと一緒に顔合わせをする。



「お前メインの仕事増えてくなー」

武田さんか呟く。

「テレ朝系はお前に任せようかと思ってんだけど」

「武田さん、外ロケ嫌いですもんね」

「……バレたか」

私の言葉に苦笑いする武田さん。



私は外ロケも登山も掃除ロケも楽しかったんで問題ないですが。



「真面目に結構本気で考えてるぜ？お前ラジオスタッフから評判いいし」

「そうですか？」

…そしてこれ褒められてますか？



「ラジオと一緒で挨拶は俺つくけど後はお前メインだからな」

「はい」

なんて話をしてるとノックの音。

「失礼します」

声がして武田さんと私は立ち上がる。

「はい」

返事をすると映画の撮影の時にお世話になったスタッフさんが入ってくる。
それに続いて入ってくる人たち。

その中の人を見て凍りつく。



「お待たせ致しました、紹介します。広告担当の中野と炭谷です」

「はじめまして」

武田さんが挨拶するのに続く。



名刺交換をする手が少し緊張する。

中野さんとは普通に交換。
炭谷さんが私を目の前にして止まる。



「…A？」

「ご無沙汰しております」

名刺を交換する。



「知り合い？」

武田さんがよそ行きモードで聞いてくる。

「大学で同じゼミの先輩と後輩です」

手で炭谷さんを先輩、私を後輩と手で示して伝える。



同じゼミという言葉に少し反応する武田さん。



そうです、武田さん。
ビンゴです。
元カレです。


こんな偶然あります？

ドラマですか？



「知り合いなら話は早いですね」

なんて言う中野さん。
名刺を見る限り中野さんが上司な様子。



今日の打ち合わせは

事前に貰ったプロモーションについて
実際いつ何があるかと雑誌のコンセプトや記事の内容が具体的に書かれてる資料を貰う。

「取材に関するアンケートが沢山ありますので御協力お願い致します」

「分かりました」

見ると確かに沢山ある。



…これ北山さん大変だな。

答えやすいように雑誌別にするとか同じ答えになりそうなのを事前に纏めておかないと。

なんて考えながらざっと資料に目を通して期限が抜けてるものとかを確認して質問する。



「撮影や細かい対応は炭谷が担当しますので」

「うちも北山の担当はAなので」



そう言う武田さんの笑顔が完全におもちゃを見つけた顔。




…これは嫌な予感。

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