サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 23 ページ25

私だけがここに居てもいいって
どういう意味なんだろう？



ただ北山さんが辛い恋してなくて良かった
って気持ちと
ひとまずだとしても私がここに居ていいって言われてホッとする。



「カードはさ」

急に北山さんが話し出す。

「控え室でモデルさんがくれたんだけど。いらないし捨てようとしたらそこて捨てて悪用されたら可哀想だって止められて」

抱き締められたまま話されてて北山さんの声の振動がダイレクトに伝わる。



「貰ったこと忘れててそのまま洗濯したから何書いてあったかわかんねー状態」

「…そうですか」



とりあえず相槌を打ったけど
正直北山さんの本命じゃないならどっちでもいい。



「モデルさん、北山さんの好みなんだと思ってました」

「なんで？」

「…裕香さんに似てたから」

「………」



返事がないってことは図星ですか？

そう聞ことしたら北山さんが私を抱きしめる腕の力が少し強くなる。



「俺の好きなタイプはね」

先に北山さんが話し出す。

「自分より他人優先しちゃうような優しい子」

そう言いながら私の背中を優しくポンポン叩く。



「ちゃんと見てないとすぐ勝手に勘違いして誤解しちゃうしものすごく面倒な子なんだ」

「……そうなんですか」



変わってますね、北山さん。

面倒な子って言うってことはいま既に自分の周りにその子居るんだ。



「喜怒哀楽も分かりにくいし。心ぜーんぜん開かないしすごく厄介なんだけど」

「大変そうですね」

「でも本当に優しい子なの」



そう言う北山さんの声も優しい。

そして
自分の好きな子の話を私とはいえ女性抱き締めたまま話すとか
北山さんって本当に変わってる。



「まぁ俺の仕事柄彼女とか結婚とかぜってー無理だけど」

「確かに」

「でも好きでいるくらい自由だろ？」

「そうですね」

私が言うと北山さんはクスクス笑ってる。



何が面白いんだろう？



それにしても

「その人に気持ち伝えなくていいんですか？」

気になったから聞くと

「んー、まだいいかな。そもそもその子は俺のこと何とも思ってねーだろーから」

そう言う北山さんの声が少し辛そうだったから
何だか私も辛くなってきた。



「まぁそんなわけだからモデルさんは違います」

「わかりました」



それはよく分かったけど。

「北山さんが片思いしてる方は私も知ってる人なんですか？」

何か手伝えるかな。



私が聞くと北山さんは

「……聞きたい？」

そう言って私の首元に何故か顔を埋めた。

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