サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 12 ページ3

夕方。

家に帰って旦那さんのご飯の準備をすると言うマンちゃんは先に帰る。

私はもう少しのんびり入ることにした。

…夕飯も食べて帰ろうかな。



そう思いながら湯船に浸かってたら
ものすごくスタイルがいい人が歩いていた。


うわぁ…綺麗。


思わず顔を見ると手書きで携帯番号とIDを書いた彼女だった。


さすがモデルさん。
納得のスタイルだった。


出来るだけマジマジと見ないようにしたけど。
あまりの綺麗さにまた見るとついに目があう。



でも彼女は私を知らないし。
どうしよう。
リアクションに困った。


すると、本人も見られることに慣れているんだろう。

私に嫌な顔をすることなくニコッと笑うと会釈をして
海藻スパやデドックスマッサージをしてくれるいいお値段の高級スパゾーンに入っていく。



…ものすごく感じがいいですね。



でもさすがにまた会ったら気まずいな、と思ってご飯を食べるのをやめてスパを出て車に乗り込む。
出口に向かって走ると出口付近に北山さんの車があった。

ものすごくドキッとする。

思わず車を止めてナンバーや車をちゃんと確認するけど間違いなく北山さんの車だった。



まさか。

北山さん、モデルさんとここに来てるとか。



これはきっと顔に出る。

明後日北山さんに会ったらまた「何かあった」って勘づかれてしまうかもしれない。




悶々としながら翌日を迎えて。

北山さんチームと同じく朝というよりは夜中な時間にまず藤ヶ谷さんを迎えに行く。

車に乗っても寝ないで起きてる藤ヶ谷さん。
色々話し掛けてくれてるところを見るともしかしたら気を遣ってくれてるのかもしれない。

早速相談してみる。



「え？うまく演技をする方法？」

「…そうなんです」

「Aさんが？女優にでもなりたいの？」

「違います。分かりやすいって指摘されたから思ったことが顔に出ないようにしたくて…」

「へーー」



藤ヶ谷さんは少し考えた後で

「Aさんは思ってること顔に出したくないの？」

「…出来れば」

「なるほどね」

そう言ってまた少し考える。



「Aさんは基本無表情じゃん。だから多分感情が出るのって『目』だと思うんだよね」

「…目、ですか」

「うん。だから目を意識してみたらいいと思う」

目を意識とは？



「あ、ホントだ。わかった」

藤ヶ谷さんが言う。



「いま『目を意識ってどうするの？』って目をしてたよ」



…全然無意識だった。




ここを気をつけなきゃってことですか？

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