サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 18 ページ15

さっき無駄に早歩きしたから
完全に足が痛い。

左足だから運転に支障がないのが救い。



「遠回り申し訳ないねー」

「全然大丈夫です」



運転してる間、北山さんと談笑してる玉森さん。



「あ！そうそうAちゃんありがとうー」

しばらくして玉森さんが私に声をかける。



「何がですか？」

「プレゼント。完璧だったよーん」



…あ。もしかして。



「それなら良かったです」

話を畳んだつもりだったけど。

「へー何か買ったの？」

北山さんが話を広げちゃう。



「ルームウェア買ったのー。可愛いやつ」

「へー！ルームウェア？」

「そー。Aちゃんが今まで貰った中で一番嬉しいプレゼントって言ってたから」

ニコニコしながら言う玉森さん。



……あー、言っちゃった。



「へぇー。一番嬉しいプレゼンだったんだぁ」

北山さんがミラー越しに私を見てくる。
ものすごくドヤ顔をしてる。



……恥ずかしい。



「って言ってたよね、Aちゃん」

「……はい」



気まずい。

気まずいです玉森さん。




「アクセサリーほど重くないし毎日着れるからねー。すごく良かったー」

「それは良かったです」

あぁ、この話終わらないかな。



「でもね、半袖と長袖はさすがにしなかった」

玉森さんの言葉に今度は北山さんが反応する。



「どうしてですか？」

「さすがに狙いすぎだしクサすぎない？」

私と玉森さんの言葉に北山さんが気まずそうに窓の外を見る。



「…そうですか？」

「そうだよー絶対やる人居ないってー。いくらなんでもキザ過ぎない？」

あーくさいくさい。
そう言いながら玉森さんはスマホを取り出している。




窓の外を見たままの北山さん。



面白くなってそのまま北山さんを見てると目が合う。

無言で睨んでる北山さんが面白い。




玉森さんが降りると

「おいコラA」

低い声で北山さんが呼ぶ。



「…何ですか？」

「タマに変なこと言ってんなよっ」

「変なことですか？」

「半袖と長袖のやつとかさー」

ブチブチ文句言う北山さんだったけど。



「…つーかさ」

「はい」

「そんなに嬉しかった？」

そう言ってニッて笑う。



「今までのプレゼントで一番だったって」



…ものすごく恥ずかしい。

何も言わずにいると

「俺はそう言ってもらえてすごく嬉しかったよ」

優しい声の北山さん。



「つーか、そーゆーことはちゃんと俺に言えっつの」

不満そうな北山さん。




今日は素直に言ってみようかな。

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