サイボーグな彼女 2

一心同体 14 ページ7

大晦日の昼。

北山さんを迎えに行く。




「おはようございます」

「A、昨日ごめん」

「いえ、大丈夫です。動きます」




私は早々に車を発車させる。



…やっぱり声が変かも。

でも、北山さんは多分気づいていない。



今日は、あまり話すの辞めておこう。

でもそんな時に限って北山さんは起きてる。



今日はドームでリハ、10万円のロケ、カウコン、CDTVと大忙しだ。

寝てくれないかなー。




今日は移動が多くて、7人で一緒に移動だから分乗して乗ることにして、
私はジュニアやスタッフのマイクロバス移動も手伝うことに。


合流するのはカウコン終わった後のドームの移動からになる。




「あのさ」

ふと、北山さんが言う。

「はい」

「この前、置いてってくれたヨーグルト、めちゃくちゃ美味しかった」

「そうですか」

私が好きなのを中心に買ったから気に入ったなら良かったけど。



…どうしたんだろう、急に。



また黙ってる北山さん。

でも何か言いたそう。
何だろう？



そうこうしてたらドームに着く。



「では、また夜に」

「……おう」



北山さんは車を降りて、やっぱり何か言いかけたから振り返ったけど。



「運転、気をつけてな」


とだけ言って車のドアを閉めた。



何だろう？
今まで、こんなこと言ったことないのに。


あ、昨日ずっと後半不機嫌だったから、気を遣ったのかな。


だとしたら、気にしなくていいのに。






とりあえず切り替えて、久しぶりにマイクロバスを運転をした。

事務所からドームへのピストン輸送の中に、山本さんがいた。



「え？」

「欠員出てさー、俺も裏方やることになったよ」

「そうなんですね」



途中でジュニアを送迎したり、買い出しやケータリングを運んだりして、
最後のピストン輸送を終えたのは夜。

そのままドームで皆が来るまで休憩だった。



見たくないなー、と思いながら熱を測ると


「38.3度」


…ヤバい。



けど、今日を乗り切れば連休だ。

私は栄養ドリンクを飲んでめざましをセットすると車で眠りについた。



pipipipipi…



電子音がして、目を覚ますと21時。



…そろそろ皆が来る頃だな。



私はパンパン、と両頬を叩いて起き上がると、ドームの控え室に向かった。

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