サイボーグな彼女 2

支えるとは 1 ページ47

年明け程なくして、噂だった北山さんの映画が決まった。

本読みに集中する北山さんは私にご飯をねだる。



「なーなー、豚のしょうが焼き食べたいー」

「定食屋さんにありますよね」

「Aのを食いたいんだけど」



スルーしてたら今度は別の日に

「なーなー、蕎麦食べたくない？」

「別に…」

「ほら食おーよ」

どんぶり2つと蕎麦が現れた。



１食浮いたけどそのまま北山さんは台本を読み始めて、途中でソファで寝ちゃった。



「北山さん、帰りますよ」

「んーー、泊まるー」

「ダメです」

何処で誰が見てるかわからないのに。



「車で送りますから」

「…ははっ、超贅沢な距離だな」

目を擦りながら北山さんは言う。
けどまた寝ちゃった。



困った私は別の提案をする。

「明日の朝雑炊持って行きますから」



「…豚のしょうが焼き…」



目を閉じたまま北山さんは言う。
諦めてなかったんですね。

「分かりました、今度作ります」

「…絶対？」

片目を開けた。

「はい。舞祭組ツアーから帰って来たら」

「分かった」

起き上がって伸びをする北山さん。





「やべーな、Aんち落ち着く」

帰りの車の中で言う北山さん。

「そうですか？」

なんの変哲もない部屋だと思うんですが。



「なんだろ、香りかなぁ」

「わからないですけど、寝ちゃうならもう作りませんよ？」

「えぇー！いいじゃん泊まっても。スエットあるし」

…そういう問題じゃないんだけど。



そう、北山さんはお正月に泊まった時のスエットをパンツと共に置いていった。

「看病用だよー」って言うけど、私は倒れる予定ないですよ。



「2日連続同じ服とかおかしいし、どこで誰が見てるかわかりませんよ」

「マネージャーとタレントだよ？打ち合わせだってするだろ」

「少なくともこの距離で異性のマネージャーの家に泊まりませんよね」

「まぁそうだけど」

私が言うと納得してくれる北山さん。



でも、うーんと唸ったと思ったら、

「ほら、でも社宅だろ？」

北山さんはまだ泊まるのを諦めていない様子。




私の家より倍から3倍しそうな北山さんの家の方が相当落ち着くと思うんですけど。



「自分のおうちの方が絶対落ち着きますよ」

言うとちょうどマンションに着いた。




「雑炊お部屋で食べますか？車で食べますか？」

「…車で」

「分かりました」


ものすごく不満そうだけど、おかしいのは北山さんですからね？

支えるとは 1 ki→←一心同体 31 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す