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一心同体 31 ページ45

焼肉と千切りキャベツを乗せたお皿をキッチンから運んでると、北山さんがやってきた。


「…何か手伝う?」

「じゃあ飲み物出して下さい」

「はーい。A何飲む?」

「烏龍茶飲みます」

「あいよー」



言って食器棚からコップを2つ取ろうとしたから、

「あ!北山さんはこれ使って下さい」

慌ててキッチンからコップを渡す。



少し赤が入ったオシャレなグラス。



「どしたの?これ」

「北山さんっぽいですよね」

驚いてる北山さんに私は答える。



きんぴらや冷奴を器に乗せてキッチンカウンターに置いていくと、

「これ並べればいいー?」

北山さんが聞いてくる。

「じゃあお願いします」

私が言うと、北山さんは「はーい」って言いながらテーブルに運んでくれてる。



北山さんの分のご飯とお味噌汁をさっきとは違う器に入れた。
お茶碗とお椀は私のペアのやつとは違うけど男性用のペアのものだ。

でも淡々と私が置いていくと、北山さんが一瞬止まる。


「…あれ?」

北山さんは不思議そうにしてる。



後はお箸だ。

少し緊張するけど意を決して北山さんに声を掛ける。

「北山さん、これ使って下さい」

お茶碗とお椀とセットになってるお箸を渡す。



「…えっ」

北山さんがものすごくびっくりして改めてお茶碗たちを見てる。




「生活力0だから色々頼むことがあるって仰ってましたよね」

「…おぅ」

「だから用意しました」


言うと北山さんがものすごく笑顔になった。



「さっき、変な空気になってごめんなさい」

私は頭を下げた。

「あ、いや、俺が…」

「違うんです」

北山さんが言いかけた言葉を遮る。




「私、本当にあの時嫌な思いしてないんです。ぶつかって来られたとしても避けられない自分が悪かったし、北山さんと連絡つかなかった時も腹が立つより北山さんが無事だったことにホッとして安心してたんです」

私が言うと、北山さんはものすごく優しい顔で笑ってる。



「…なーんだ、そっか」



その顔を見たらホッとした。


「俺、てっきり我慢してるんだと思ってさー。申し訳なくて」

「違うんです」

「うん、分かった。こっちこそゴメンな。つっかかって」

「いえ、ちゃんとそう言えば良かったのに言葉足らずでごめんなさい」

また頭を下げ合う私たち。



「…食おっか」

「はい」



北山さんが笑うから私もさすがに笑った。

そしたら北山さんがものすごく嬉しそうに笑う。



少しだけ。

少しだけ北山さんに近付けたかな。

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咲良(プロフ) - shizuさん» は〜い!いえいえ (2019年2月18日 22時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - 咲良さん» 字数の都合で少し変えました!ありがとうございます! (2019年2月18日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 支えるとは 1ki ほら、ここ社宅だし 車の中で喋ってるのなら「あっこ」の方がいいと思います^_^ (2019年2月17日 10時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - shizuさん» んふふwいえいえ!楽しいんでおかしい日本語(?)あったら教えますよ(笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - 咲良さん» 急にアクセス増えてるー、と思ったらチェックする前に上げてました。毎度チェックありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年2月4日 11時

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