サイボーグな彼女 2

一心同体 30 ki ページ44

ヤバい。

俺がAに求め過ぎた。



長期戦は覚悟しようって決めたのに。
全然ダメじゃねーか。



トイレから戻ると、何事もなかったかのようにPCに向かってるA。

気を遣わせたら辛いからこれでいいんだけど、
空気感がよくわからなくてどうしたらいいか分からなかった。




DVDを見て笑ってると、

「お昼、何か食べたいものありますか？」

ふいに声がかかった。

「んー？なんでもいいよ！」

作ってもらえるならなんでもいい。
逆に手を掛けてもらうのも申し訳ない気すらする。

あまりに気まずくなってたら、食ったら帰ろう。




「分かりました。ちょっと買い物行ってきますね」

「あーい」

出来るだけ普通に見送る。



パタン、とドアが閉じる音がして続いて鍵がかかる音が聞こえる。

おー、鍵をかける癖つけてるのかな。



笹野さんのDVDをそのまま見てると、
俺ってマネージャー運はいいなーってつくづく思う。

笹野さんにAに。

すげー大切にされてるよな。
このDVDすげーよ。



ただストーリーが全くわからない。

「家族狩り」はさらにわからなくて笑った。




気が付くと、Aが買い物に出て2時間経ってる。

遅くね？


そしてAのソファが気持ち良すぎて眠くなってきた。


Aはもしかして俺と居たくなくて時間潰してるとか？
電話しようかな、でも邪魔しちゃ悪いし寝るかな、と思った瞬間ドアが開く音。



「ただいま帰りましたー」


Aが帰ってくる。
すげー荷物で。


「んー、おかえり」

相変わらずこーいう時も頼られない。
地味に傷つく。


寝そうになってたから声がマヌケな声だ。



「あ、ごめんなさい。起こしちゃいました？」

「んーん、ご飯何ー？」

目を擦って聞くと、

「焼肉定食です」

キッチンから答えるA。

「え、マジ？」

肉！！
しかも定食？？



相当テンションが上がった。



「はい」

キッチンから顔を出してAが言う。

その顔がさっきとは全然違うから、多分Aも買い物で切り替えてきてくれたんだろう。



「やったーすげー楽しみ」

俺が言うと、目尻が下がってるA。





あの時の緊張感は完全に無くなった。



しばらくすると、香ばしい匂いやら色んな匂いがする。

定食ってことは色々出てくるのかなー。
すげー楽しみなんだけど。

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