サイボーグな彼女 2

一心同体 27 ki ページ38

トントントン…

遠慮がちに音が聞こえる。
ご飯が炊ける香りもする。


寝起きにこの香りっていつ以来かな。


あー、すげー癒される。



…ん？

何で？？



目を開ける。



いつもと違う景色。

部屋は薄暗い。


あ、Aんちだった。


てかこの料理の音はAが作ってるってことか？



「んあー、A起きてんの？」



毛布から出て伸びをしながら言う。

包丁の手を止めるA。


「おはようございます、起きました」

「起きてるどころじゃねーだろ、何してんの？」

「熱下がりました」

「ホントかよー」


部屋の電気を付けて体温計を持ってAがいるキッチンに向かう。


「さっき35度でした」

「どれ」


俺が体温計を差し出すと受け取るAはすぐ脇に挟んでる。

すぐ電子音がするので受け取ると、


「37.0度」



俺が無言でAに見せると、

「…あれ？」

すごくマヌケな声で言う。

「あれ、じゃねーよ何してんだよ！」

あまりに気の抜けた声で笑っちゃう。



でも、あ、そうかって顔をしてるA。

「さっきお風呂入ったからですよ」

「はぁー？どれ」

俺はAのおでこを触ると、自分のおでこと比べてみた。

「…んー確かに熱くねーけど」

それよりおでこに触ってることに何だか緊張した。




ダメだ、意識してくる。

「つーかシャワー借りちゃダメ？ものすごくキムチ鍋臭い」

キムチ鍋で汗かいたし若干汗臭いかも。

「え、いいですけど着替えとかどうします？」

「ジャージとか借りれない？パンツはあるんだけど」

いつでもサウナ行けるよーに下着は持ってる。
服は残念ながらサイズほぼ一緒だし。




「…なんでも良ければ」

Aが言う。

「ん、貸してー」

「はい」

寝室から着替えとタオルを持ってくるA。



「シャンプーとかは適当に使って下さい」

「さんきゅ」



バスルームに行くと、シャンプーやリンスがモロAの香りで何だか緊張する。



それも束の間。

風呂上がりにジャージを広げると、だいぶ大きい。



…これ、元カレとかのじゃねーの？


そーゆーの普通貸す？
つか、取っとくか？


残念ながらぴったりなAのスエットを下だけ履いてリビングに戻ると、
俺の顔を見てAが少し驚いてる。


「…どうしたんですか？」

「この、大きいやつ誰の？」

「兄のです」

即答するA。


…あり？



「…んだよ」

妬いて馬鹿みてー。

「はい？」

「なんでもねー」


…恥ずかし。

一心同体 28→←一心同体 27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す