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一心同体 24 ページ31

着替え終わってキッチンに戻ると、鍋に一生懸命具材を詰めてる北山さん。


「おいー、座ってろよー」

北山さんは私が近くに居るのに気付いてるけど、鍋に向き合ってるからこちらを見ないで言う。

「…手伝いますよ?」

「いーの、まだ完全に熱下がってないんだから」

野菜や肉の位置に相当こだわってるみたい。
ものすごく真剣。

几帳面だな。



「座ってないと、怒るよ」

やっと私を見て、ジロっと睨みながら言う北山さん。

「わかりました」

仕方ないからリビングのソファに座る。


しばらく北山さんがここに居たからかソファとクッションから北山さんの香りがする。
少し落ち着かない。

しかもキッチンから「むずっ!」だの「やべ!」だの聞こえるからさらに落ち着かない。



「北山さん」

私が声を掛けると、

「なにっ!」

必死そうな北山さん。



「…やっぱり手伝います」

「いいってばー!もう終わるっ!」

言いながら、北山さんは鍋を運んでくる。



そして、ピタッと止まる。

「…コンロ、出してねぇ」

鍋を持ったまま途方にくれてる。



その悲しそうな顔につい笑ってしまう。



「あー、熱下がっても笑ってる」

北山さんは嬉しそう。
私は思わず笑うのを辞めるけど、北山さんはまだニコニコしてる。



鍋を一度置いてコンロを出してから、

「出来るぞーー」

言ってコンロに火をつける北山さん。



そして、見た事がない器やれんげを用意してくれる。
土鍋とセットみたい。



「はーい、では熱もだいぶ下がったので煮える前にお説教でーす」



北山さんは言いながら姿勢を正した。

…あ、お説教はまだ有効だったんですね。
私も姿勢を正す。



「Aね、俺が来た時に多分無意識で下を開けてて、ここは鍵掛けてなかったんだよ」

「そうだったんだんですね」

だから北山さんは入れたんだ。



「あれ?でも住所分かりました?」

私が聞くと、

「おー、武田ちゃんに聞いた」

北山さんは言う。
そうか、ここ社宅だもんね。




「…熱があったとはいえ、下の鍵の解除と鍵のかけ忘れ。どっちもアウトです」

「はい」

それは確かに。

「よって、この鍵は俺が預かります」

と、今まで私が使ってた鍵をポケットから出す。



「…気をつけるから、もう問題ないと思ってるんですけど」

「でもこれでこーやって俺が持ってたら、Aはとにかく鍵を掛ければいいだろ?」



ニッて笑ってる北山さん。



…そうなの?

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咲良(プロフ) - shizuさん» は〜い!いえいえ (2019年2月18日 22時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - 咲良さん» 字数の都合で少し変えました!ありがとうございます! (2019年2月18日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 支えるとは 1ki ほら、ここ社宅だし 車の中で喋ってるのなら「あっこ」の方がいいと思います^_^ (2019年2月17日 10時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - shizuさん» んふふwいえいえ!楽しいんでおかしい日本語(?)あったら教えますよ(笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: 29a9983703 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - 咲良さん» 急にアクセス増えてるー、と思ったらチェックする前に上げてました。毎度チェックありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年2月4日 11時

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