サイボーグな彼女 2

一心同体 18 ページ17

移動中の車内。

私たちは揉める。



「絶対ダメです！」

「何でだよ！ついてくから！！」

「パニックになったらどうするんですか！」

「正月に北山宏光が病院にいるとは誰も思わねーよ！」



待合室まで北山さんはついて行くって主張。
そこまで必要ないって言う私。

どこから来るんだろうその自信。
有名人の自覚を持ってほしい。




北山さんの物言いはまだ続く。

「さっき車に乗る前にフラついたの誰だよ！」

「…それは…でも、フラついたけどすぐに歩けたじゃないですか」

「無理、認めない。心配」



もー、何なの？



「つーか俺はその状態で運転しようとしたことにびっくりしてんだけど」

「どこの世界にタレントに運転させるマネージャーがいますか」

「ここのこの世界だよ」



この押し問答が一番疲れるかも。
私はもう黙ることに決めた。



私が黙ると、

「え？A生きてる？」

心配して振り返る北山さん。



「生きてますよ」


返すと安心した顔をしてまた運転する。


これじゃ寝れもしないよ。

…お願いだからそっとしといてほしい。
熱があるからか、眠くなって目を閉じる。




さすがに北山さんは何も言わなくなった。



もうついてくるならそうしよう。

バレたら走って逃げてもらおう。
それで私はタクシーで帰ればいい。



「…俺さー、一昨日迷惑かけたじゃん？あの時早く寝れてたら違ったんじゃないかって思って」



ふと、北山さんが話しだす。

…ほら、やっぱり気にしてる。



「いま風邪菌なんてそこら中にありますから」

たった1日夜更かししたくらいじゃ何ともないって。

なんからコーヒーかかって濡れたままだったから、とかの方が説得力あるかも。

…コーヒー2杯分濡れたくらいじゃ風邪も何もないけど。



「気にしないで下さいよ、本当に北山さんのせいじゃないですから」

「そうかもしれないけどさー」

納得いってないみたいな北山さん。




「あ、分かった」

しばらくして、ふと言う。

「俺が嫌なんだよ、しんどそうなAを放っておくの」




北山さんが言う。

…何を言ってるんだか。
私、ただのマネージャーなのに。



「優しいですね、北山さん」

「違うよ、優しいのはAだよ」



信号待ちで、振り返ってニコッて笑う北山さん。



「とにかく、今日は世話焼かせて」

お願いー！っ手を合わせる。


…断るのも疲れたな。

「インフルエンザだったら帰って下さいよ」

「…おう」


北山さんは嬉しそうに笑う。

一心同体 18 ki→←一心同体 17 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す