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Aに会いに行って振られて数日後。
どうしても話したい事があり、凌さんを呼んだ。
『おう、修司久しぶりだな』
「お疲れ様です!急にすいません」
俺から凌さんを飲みに誘ったが、こうしてサシ飲みするのは初めて。
それなりに音楽の話をして、辿り着くのはやっぱりAの事。
凌さんはライブの日の俺たちの会話を聞いていたらしく、話は早かった。
『寄り戻したの?』
「いえ。まぁ、仲直りくらいですかね」
『なんだそりゃ。笑』
「俺の憶測なんですけど、凌さん。Aの気持ち、気付いてますよね?」
なんの根拠もないけれど。
事実、彼女本人も否定していたけれど。
きっとAは凌さんに好意を抱いている。
鋭い凌さんならきっと分かっているはず。
『正直、Aの事はそういう風に見てない。でも。』
「でも...?」
『俺がそう思わないようにしてただけかもしれないな。』
グイッとグラスを空ける凌さんは言い回しが随分くどくて難しい。
「俺、後悔してるんです。あいつを傷付けた事。」
追加のお酒を手元のタブレットで頼んで俺の話を真摯に聞いてくれる。
「どうも独占欲が強すぎるみたいで。人当たりがいいから嫉妬ばっかして。だから突き放したんです。お前とはヤリモクだからって。」
『ごめん、お前それは最低だわ。』
「分かってますよ。でも、大好きだったから。嫌だよって。別れたくないって、そう言われると、Aは俺を必要としてくれてるんだって感じて嬉しかったんです。めちゃくちゃキモイんです、俺。」
『キモ...いことは無いと思う。酷いけどな。』
「酷すぎますよ。こんな俺を無理にフォローしてくれなくていいんですよ?笑。完全に狂ってたんです。好きすぎて。」
『狂愛ってやつだな。お前やべぇわ。』
「そうなんです。それで、今更になって後悔してるって言ってももう遅くて。振られました。」
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時