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数日後、久しぶりに会う凌さんは少し疲れているように見えた。
「なんか、疲れてます?」
『んいや、別に』
「そうですか。」
お前は何しに来たんだと言いたげな態度の凌さん。
作業チェアにも垂れてクルクルと回っている。
なにしてんだ。
まぁ、今日だけの事ではない。
「ちょっと相談なんですけど、」
『え、相談とか無理。めんどくさい。』
「卒業したら何しようか迷ってて。」
『知らねぇよ。好きにすりゃいいだろ。』
「凌さんのせいですからね!」
『はぁ!?俺が何したってんだよ』
「凌さんのせいで、音楽の道も見えてきちゃってるんですから」
『あぁ〜』
そう言うと先程と反対方向に回り出す作業チェア。
真面目になんて考えていない。
『知らねぇ。好きにすりゃいいんじゃん?』
「そんな投げやりな...」
『お前の人生だろ!俺に関係ねぇわ』
"関係ない"
テキトーに選んで出た言葉に深く傷ついた。
関係ない。私の事は凌さんには関係ない。そりゃそうだ。
他人だもん。つい数ヶ月前に会ったばかりの赤の他人。
意を決して相談した私が馬鹿だった。
「...そうですか。関係ないですよね。すいません。」
『なんでそんなあからさまに不機嫌なんだよ』
「そりゃ不機嫌にだってなりますよ。」
『俺は正論しか言ってないだろ。何が不満なんだよ』
「凌さんには関係ない!」
『おいおいおいおい、めんどくせぇぞ。』
「もう!うるさいな!」
苛立った私は彼の家を飛び出した。
思い返せば凌さんは何も悪くない。
それなのに凌さんにイライラする。ムカつく。
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時