27 ページ27
そろそろ帰るわと、修司は部屋を出ていった。
修司が帰った後の部屋は静寂に包まれ、ひとりぼっちの虚無感に襲われる。
私は修司を信じてもいいのか。
どんな理由があろうと過去に私の前から消えた。
それでも1度は愛した人。忘れられない人。
「もう...いや...」
全てが嫌。
散々遊びまくっていたくせに、中身は臆病なまま。
修司も修司で勝手すぎる。
お前は身体目的だったと言ったくせに。
両親が亡くなった時も、そばに居てくれたのは修司だった。
絶望の真っ暗闇の中の私に
"Aには俺がいるよ"と言ってくれた。
修司と共に過ごす学生生活はとても楽しかった。
そんな億劫になる朝。
重い身体を持ち上げ、やっと学校へ行く準備を始めた。
専門学校2年生。
卒業したら進路はどうしよう。
え、どうしよう。
音楽の道へ進もうかとも考えたが、現実的に厳しいか。
我ながら打たれ弱い私には到底無理だろう。
学校に着くと、いつもの友人といつもの先生。いつも通りの授業。
音楽好きが集まるここの中には凌さん達のファンもいて、
昨晩のライブの興奮が未だに抜けないという声が聞こえた。
あまり気にしていなかったが、凌さん達の人気って結構凄い。
そんな人に付いてるなんて自慢し放題。まぁしないけど。
みんな、どうするんだろう。
アーティストを目指すのかな。
就職するのかな。人それぞれ。
あとで凌さんに相談してみよう。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時