検索窓
今日:19 hit、昨日:4 hit、合計:21,486 hit

25 ページ25

かつて愛おしいと思えた彼の全てに、
今は恐怖と罪悪感しかない。



修司「お前のこの身体も、この顔も、この顔も全部、今までどこの、誰に見せてきたんだよ」



あなたのその表情は
今どんな感情なの...。

こんなのは抱かれてるんじゃない。襲われている。

それでも彼が織り成すこの快楽から抜け出せず、拒否する事も出来ない。


違う、拒否しない。


修司の気持ちもよく分からないままに、彼の胸に抱かれて眠った。



朝起きれば、もちろん隣には修司がいる。
スヤスヤと寝息をたてるその顔はあの頃の愛くるしいままだった。



スマホを見ると、凌さんからの通知があった。


ただの仕事の話。


もしかするとまだ修司に気持ちがあるかもしれないと思った私は、凌さんに対して少し気があった事にまた罪悪感を感じた。


凌さんは私の事どうも思っていないのだから、そんなの感じる必要もないのに。



修司「おはよ」



「あ、おはよう」



何事もなかったように振る舞う修司。
シャワー浴びるわ。と何も気にすることのない彼の態度に、まだ恋人であるような錯覚。


〜♪



このタイミングで着信が入る私のスマホ。凌さんからだ。



「もしもし」



『おう。メール見た?』



「はい。」



メールには

"俺の機材が足りなかった。どっか混じったかも。分かるか?"

と来ていた。


『違う奴の方にいってたみたい。見つかったから大丈夫。』



「そうですか。良かったです。ごめんなさい、私のミスです。」


『いや、いいよ。今回は特別に許してやろう』


「珍しい。ありがとうございます。」



『お前さー、今日なんかある?』



「今日ですかー?」



『スタジオ行くけど、行くか?』



「あぁ、それなら...」



バスルームからドアの音。
特に予定も無いが、今日は凌さんに合わせる顔がない。


『ん?』


「今日ちょっと用事が」


『そうか。』


「すいません。」




切れた電話が少し切ない。



修司「電話?」


「うん。」



ベランダに出て2人で煙草を吸った。
高校1年の頃に付き合って、3年後に別れた。
その頃はお酒も煙草もしていなかった。
こうして2人で一服するのも初めての事。


修司「初めてなのに懐かしいな。」



「そうだね。」



修司「Aが煙草吸うの想像つかなかったけど、案外様になってんじゃん」



「なにそれ」


再会してからやっと笑顔を交わした。

26→←24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
設定タグ:恋愛 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。