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その打ち上げにはもちろん修司達もいるわけで。
少し離れたところにいるが、同じ空間にいる。
さっきあった出来事がフラッシュバックしてくる。
また気分が悪くなり、煙草を持って外に出た。
にぎやかな店内とは裏腹に、外は閑散としていた。
『おう。』
「あ、来たんですか」
『一服。お前もだろ?』
そう言って私の手からライターを奪いとる凌さん。
『具合大丈夫か?』
「ちょっと出したんで大丈夫です」
『きったね〜』
笑いながら話す私達は、外の空気に触れたせいで徐々に酔いも抜け出した。
さっきまでの酔いは雰囲気酔いもあったということだろうか。
『悪ぃけど、今日の修司との話、聞こえてたわ。』
「え...聞いてたんですか」
『なんかお前が隠そうとしてたから言わなかったけど。』
隠したというのは舞台袖での事だろうか。
それともその後も聞いていたか?
何故か凌さんには知られたくなかった。
『まぁ、別に尋問しようってんじゃねぇよ。人の色恋興味ねぇから。』
「興味、ないですか?」
『え、聞いて欲しいの?』
興味ない、私に興味が無いということだと思うと、それは少し寂しい。
私は凌さんの事、興味しかないのに。
「いえ。もう終わったことなんで。」
『ふーん、修司みたいなやつが好みなんだ』
「詮索しないんじゃないんですか!」
『え?』
とぼける凌さん。
この2人の時間は緩やかに流れ、私にとって相変わらず心地のいいものだった。
そうしているうちに、もうタバコは燃え尽きていた。
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時