21 ページ21
打ち上げでは、初めて会うメンバーの皆さんが私を労ってくれた。
凌に粗使いされてないか?とか、コイツ口悪いけど、よろしくなとか。
そして、沢山飲まされた。
今年20歳になったばかりの私は、自分が強いか弱いかもまだ分からなくて。
「凌さん〜。助けてー。」
『可愛がられてなんぼだろ?ガキはな、人に迷惑かけないように1度潰れるまで飲んで自分の飲める量知ってなきゃなんねーぞ。』
お酒が回って機嫌のいい凌さんの言葉に、私のグラスはまた一杯になる。
可愛がられるのは光栄なこと。
でももうフワフワし過ぎて正直ヤバい。
「凌とAはどこで知り合ったの?」
誰かのひと言。
『拾った。』
「捨て猫みたいに言わないでください。」
「お前らお似合いなんじゃねーの?」
『やめろ、コイツは妹みたいなもんだ』
「凌もさ〜、いい加減前向けよ〜」
酔っ払って絡んでくるメンバーにいいから、いいからと話を流す凌さん。
妹みたいなもんと言われ、嬉しいような、悲しいような。
凌さんの事、気になる。
「凌さん、どうして彼女作らないんですか?」
「あぁ、それはさー、長くなるんだけど、」
『もー、お前らマジでいいから。コイツの前でその話すんなー』
ヘラヘラと言う凌さんに対して、少しズキンと痛んだ。
教えてはくれないんだね。
目の前のグラスの中を一気に流し込んだ。
「まだまだ飲めます。」
急にスイッチの入る私に、もう凌さんの話はそっちのけで乗っかってくるメンバー達。
散々飲み散らかして、結局トイレで出した。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時