ベランダとタバコ（紫） (ページ36)

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「Aさんはどんなお仕事してんの？」

『ごく一般的な会社員です…』

「でもAちゃん、東京の本社に異動してきたんだからそれくらい優秀ってことじゃん」

『いやいやそんなことは無いんだけど』

「それはすごい、じゃあまだ東京慣れてないでしょ」

『慣れてないから、仕事以外は家にこもりっきりです笑』

「もったいない、俺が免許持ってたらどっか連れてってあげられたんだけどなあ」

「そーじゃんふっかいい加減免許取りなよ」

『ふっか免許持ってないの？持ってそうなのに』

「あーやっぱ俺免許持ってそうな顔してる？

そうなんだよね、時間なくて取りいけねえの」

「ふっかふっか、ダルい笑」と笑う岩本さん

「てかさ、2人はいっつもベランダでタバコ吸ってんの？」

「んー、まあそうね、大体同じ時間にベランダに出て一緒にタバコ吸ってるっつーか、

んでたまーに酒飲んだり」

「へえ、なんかいいね」とビールを喉に流し込んだ

「俺も、お隣さんとこんなに仲良くなると思ってなかったからびっくりよ」

『や、ふっかがコミュ力オバケなだけだよ

だって岩本さん、ふっか初対面の私になんて言ったかわかります？？

タバコ1本頂戴？ですよ、しかもベランダで』

それを言うと一瞬目を丸くしたかと思えばお腹を抱えてヒーヒー笑いだした

「そんなに笑うことじゃねえだろ！」

「はーおもしろ、いや、初対面でしょ？

普通そんなこと言う人いねえから

しかもベランダの壁越しでしょ？やばいって」

と目じりを拭いながら話す岩本さん

「それふっかだからまだよかったけど、一歩間違えたら不審者だかんね」

「いや、たしかに今思えば俺やべえな」

酒飲んでたのかなあと考え込むふっか

「や、でもそれでタバコくれるAちゃんもやばいってことじゃん」

『だってそれは、タバコ拾ってもらったんだしお礼としてだから』

「あーそうだっけ？なちい～」と言うふっか

「なんか、他の人はなかなかしないような出会い方してんね。いや、なかなかってか全国探してもお前らしかいねえよ」

とニコニコ交互に私たちをみる岩本さん。

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