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そういえばまだ挨拶にも行ってなかったな



いや、今の時代挨拶とか行くっけ?もし挨拶して、隣の人変な男の人だったら怖いな、なんて思いながら耳を澄ませる。






『えー、タバコねえじゃん』





若い男の人…? 私と同じようにタバコ吸いに来たのか、それなら洗濯物の臭いとか大丈夫そう、いや男の人って洗濯物とかすんの?




そんなことを考えながらどんな人だろうと思って隣のベランダとの境目の壁に耳を当てていると、パーカーのポケットに入れていたタバコの箱が落ちた。




「あっ、やば」




焦って取ろうとすると運悪く自分の足で蹴ってしまい、壁の下の隙間を綺麗に通り抜けていく。





ほんっとなにやってんの私…





仕方ない、取ってもらうしか。





勝手に覗いてごめんなさい!と思いながらベランダから身を乗り出すと、隣の男の人は手すりにもたれ掛かりながらスマホをいじっていた。




あー良かったまだ居た…





恐る恐る「あの、」と声をかける





『ん?』と言いキョロキョロするも私に気付かず、再びスマホに目を落とした。




ですよね分かってます、まさかこんなとこから呼んでるなんて思いませんよね!変な隣人ですみません!と思いながら、もう1回「あの!」と大きめに呼んだ。





『っ!? うわ、びっくりした!

え!?どうしたんすか、そんな所で』





大きい声を出す隣人さん。





「ほんっとにすみません、そっちにタバコ落ちてませんか?さっき手が滑っちゃって、多分落ちてると思うんですけど…」






『タバコ?あ、これか!全然気づかなかった!』





こちらに寄ってきて、よいしょとタバコを拾い上げる。





「あぁ、それです!すみません、ありがとうございます」




受け取ろうと手を伸ばすと隣人さんは箱をまじまじと見つめ出した。




『へぇ、女性なのにこれ吸ってんのかっこいーね』




「そうですかね…ありがとうございます…」




パッと見で私を年下だと判断したのだろうか、初対面なのにめちゃくちゃタメ口使ってくるじゃんこの人





『俺さ、前これ吸ってたのよ』




「はあ、まあ定番っちゃ定番ですからね」




『まあ今はiQOSなんだけどね!』




「iQOSもいいですね、あのタバコ…」




『なのにさ、今吸おうと思ったらタバコ切れてたわけよ!』




「それは残念ですね」






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作者名:わんわん | 作成日時:2020年4月3日 15時

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