贔屓と二番星 ページ6
アクアは少し考え込む素振りをした。
「今のグループに不満はある?」
「そりゃ、ありますよ!今運営に推されてる子いるんですけど、むちゃくちゃ贔屓で!なんでかって言ったら、その子運営と付き合ってるみたいな?」
闇だな・・・と、そう思いながら話を聞く。
女の子は今までの不満が爆発したように文句を言い続けた。
「歌か上手いわけでも、顔がそこまでいいわけでもないし、ガチ恋釣りで他のメンバーの客盗るような子なのにさぁ・・・私は真面目にやってるのに、運営がしっかりしてないから跳ねないんだよ」
メンバー内の空気は最悪で、何人か抜ける気配もあるそう。成程、そのためのルビー勧誘か。だとしたらただの人数合わせ・・・ルビーの才能がちゃんと発揮できるかと言えばそうじゃない。
・・・なしだな。
柄にもなくそう思った。
女の子が帰り、三人だけの空間になる。
ミヤコさんが俯きながら口を開いた。
「地下アイドルの運営って、実績ある人もいるけど、アイドル好きが高じてやってる半分趣味みたいな人も多いのよ。もちろん、今の子の話が本当かどうかも怪しいわよ?
メンバー内の嫉妬や軋轢、運営に対する不満が、ありもしない噂を生むなんてザラにある」
ミヤコさんは顔を上げ、何かを思い出したように目を閉じた。
「そもそも若い女の子の集団を上手く纏めるのって、めちゃくちゃ大変なんだから。B小町の時も、アイばっか人気だったもんだから"贔屓"って・・・ああ・・・思い出したら胃が・・・」
『お疲れ様』
アクアがくしゃ、と髪を片手でかきあげる。
「どのみち、そんな噂が立つグループにルビーを入れる訳にはいかない」
『それは私も同感。あそこじゃルビーの才能は活かせない』
「じゃあどうするの?」
「やりようはいくらでもあるよ。探偵雇ってネットにバラまいて・・・」
・・・流石に過保護が過ぎる。ルビーの為とはいえ、そんなことをすれば事務所もそこに居るアイドル達も終わりだ。
ミヤコさんも「そういう冗談は・・・」と焦りながら言った。
「冗談じゃないけど」
『・・・冗談じゃないなら尚更。他人を巻き込むな馬鹿』
「・・・兎に角、俺はルビーにアイドルやらせるつもりはない。少なくとも、信頼できない運営の元では」
アクアの信頼出来る運営なんて苺プロくらいしかないだろうに・・・何を抜かしてるんだか。
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作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http
作成日時:2024年1月21日 23時