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共感性羞恥と二番星 ページ13

「なんて作品に出るの?」

「今日は甘口で、って作品。少女漫画原作ね」

「あっ、知ってる!今日あま!アクアの部屋にあって翡翠が嫌いなやつ!あれ面白かった!」

『苦手なだけ』

「一緒でしょ」

『違う』


私の中では嫌いと苦手は違うのだ。嫌いは関わりたくないとかもう読みたくないとかそういう次元。苦手は関わろうと思えば関われるし、読めはするけど好きではないもの。そういう違い。全然違う。


「最近出来たネットテレビ局制作のドラマで、全6話中、もう3話まで放送済み。メインの役者も新人が多いし、規模としては少し小さめの作品ね」


ミヤコさんの横からパソコンを覗く。評価を見ると、星1とかなり辛口だった。

新人が多いからだろうか。でも有馬先輩は新人ではないし、演技もかなり上手い。星1をつけられるほど悪いのか・・・?


「アクアの出番は最終話に出てくる悪役みたいよ」

「向いてるじゃん。悪い顔してるもんね」

『彼女を苛めるメンヘラDV彼氏にいそう』

「うるせぇな」


不機嫌な顔をして此方を睨むアクア。ごめんて。


「ネット局のドラマだから、今見れるわよ」

「見る見る!」

『・・・共感性羞恥働きそう・・・』


そして、ドラマが始まった。

缶詰が散らかっている部屋。ポツンと端っこに置かれているベッドの上に、有馬先輩が三角座りをして、俯いている。


《人間は嫌い。だってみんな、自分のことしか考えてないから》


場面は変わり桜が背景の場面。同い年くらいの男が出てきた。


《お前さ、そんな顔してて、楽しいの?》


無言になる私たち。この男・・・驚く程に片言というか、ドが着くほど大根というか・・・
それでもドラマは続く。


《なんの用?》

《別に?ただ猫を追いかけてきたらお前がいたから》


有馬先輩はフフッと笑う。


《何それ》


アクアが気まずい空気から逃げるかのように退場した。


《なんだ、笑えばかわいいじゃん》

《な、何よ。からかわないで》

《素直になれよ》


無言の室内。

ドラマではまた新しい役者が出てくる。
また大根だった。


《おいお前。俺の女に手を出すな!》

《ハァ?何だテメェ》

《お願い!2人ともやめて!ケンカはやめてー!》


パタン。

台詞の途中で無言で閉じられるパソコン。
酷い。あまりにも酷すぎる。好きじゃないとは言えども、あれはこんな作品では無い。共感性羞恥が働きまくった。

酷い作品と二番星→←受諾と二番星



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作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http  
作成日時:2024年1月21日 23時

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