8、薄暮の武装集団 ページ8
××
中島先輩の様子からして、何か知っているのは間違いない。私は小声で武装探偵社について訊ねた。
「ぶ、武装探偵社っていうのは……僕も噂でしか聞いたことがないんだけどね……」
曰く、軍や警察に頼れないような危険な依頼を専門にする探偵社。昼の世界と夜の世界、その間を取り仕切る薄募の武装集団……とのことだった。
そんな探偵社があるのかと軽い衝撃を受けた。
ヨコハマのレベルが高過ぎて私は全くついていけない。鴨居を見上げながら首吊りの算段をしている太宰先輩とそれを咎める国木田先輩を中島先輩は疑わしそうに見ていた。
「そ……それで。探偵のお二人の今日のお仕事は……?」
「虎探しだ」
虎探し。
その言葉を聞き、思わず椅子から立ち上がりそうになった。虎。間違いなく、中島先輩のことだ。けれど、中島先輩は自分が何故か虎に変身するということに気づいていない。
「いやぁね、近頃街を荒らしている `人食い虎´ がいてね。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。最近、この近くで目撃されたらしいのだけれど」
私と中島先輩は殆ど同時に椅子から立ち上がっていた。私達は顔を見合わせ、頷く。
「じゃ、じゃあ、僕らはこれで」
「食事、ありがとうございました」
ご馳走してくれた国木田先輩に一礼し、私と中島先輩はそそくさと立ち去ろうとした。
しかし、国木田先輩は私達の逃亡を許してはくれなかった。
国木田先輩は中島先輩の襟首を掴み上げる。
中島先輩の脚が宙に浮かんだ。
「待て。貴様ら、人食い虎を知っているな?」
「む、無理だ!奴に人が敵うわけない!
あいつは僕を狙ってる!殺されかけたんだ!」
中島先輩は人目を憚らずに叫ぶ。
それは違うのです、と私は胸の中で呟いた。
虎が中島先輩を狙っているのではなく、中島先輩自身が虎なのです。何故中島先輩が虎に変身するのかは不明だが、狼人間ならぬ虎人間というやつなのだろうと私は推測している。
「云っただろう。武装探偵社は荒事専門だと」
中島先輩が強い力で身体を引っ張られ、床に押さえつけられた。店内にいたお客さん達が小さな悲鳴を上げる。
「茶漬け代は腕一本かもしくは凡て話すかだな」
「やめてください!」
私は思いっきり国木田先輩に体当たりした。
その勢いで国木田先輩の腕が中島先輩から離れる。
何をするんだ小娘、国木田先輩に睨まられ、ギュッと唇を噛んだ。
「乱暴しないでください!暴力で解決しようとする大人は大嫌いです!」
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9、金さえあれば何でも出来る→←7、かわいい子には旅をさせよ
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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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