検索窓
今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:35,365 hit

▼.福音が聞こえる日 ページ39

(※リクエストの『子供を預かる話』を『子供を授かる話』と勘違いして生まれた話です。
途中までなのでSSですが、折角なので供養します。なむ。)




「……は」
「そんな惚けた顔をしないで下さいな」


私の嬉しい報告に、社長がぽかんとする。社長が滅多に見せないような顔をなさったから、私は思わず苦笑を漏らした。
社長は、私の顔と抱えた腹とを交互に見ている。

今、私のこの腹の中には、社長との子がいる。私が母になるなんて思いもしていなかったけれど、こうして直面してみると悪くない……いや、嬉しい気がする。

だのに、社長はどこか申し訳なさそうな顔をするから気に食わない。


「どうしてそんな顔をなさるの?」
「……私、は」
「言っておきますけど。
私、この子を産みますよ。
誰でもない、私とあなたの子だから産むのです」


社長は、私の言葉に信じられないというような顔をした。

私とまぐわっておきながら、今更覚悟ができてないなんて社長は言わないだろうし、私も言わせるつもりはない。

社長は優しいから、私のことをきっと気にしてくれているのだ。私と社長は親子ほど離れていて、きっと夫婦には見えないし、大変なことが多い。

それでも、私は。


「社長を愛しているので、この子を産みます」


私がそう言えば、社長は何かを堪えるような顔をして、そして、私の左手をとった。その手は少し震えている気がした。


「私で、良いのか」
「あなたが良いです」
「……そうか」


社長の目が、ようやくこちらを見てくれる。その目は鋭いけれどすごく優しくて、目に寄った皺が愛おしい。


「私と、一緒になってくれ」
「……はい、喜んで」


溢れた涙を拭ってくれるこの手が優しいから、私はきっと幸せになれる。




2020/3/2 硝子屋

▼.無垢を穢す指先→←▼.愛しのモラトリアム



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
- あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月25日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。