【文豪ストレイドッグス】ぎゅー と ちゅー で 君と 会話【短編集】

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観念して、乱歩さんの体に抱きつく。
薄くて細い、およそ武装探偵社なんて似合わない体。
……ああでも、仕事中の乱歩さんは好きだ。生き生きとしていて、素敵だった。

はあ、と息を吐く。


「うん、満足」
「え」


すぐにぐい、と引き離されて、押し倒される。乱歩さんの影が降ってきて、視界の光が遮られる。


「乱歩さん?」
「触るから」


断りではなく、宣言。

硬直する私を置いて、乱歩さんは私の左手に指を絡ませる。深くぎゅ、と握られ、親指の腹を撫でられて、ぞわりとする。


「なんだか、突然だなぁ」
「Aが甘えん坊とか言うから」


今日はとことん甘えてやろうと思っただけだ。

乱歩さんはちゅ、と軽く口付ける。
触れるだけだった口づけは段々と深さを増して、息も出来なくなる。


「……っは、さ、酸欠になる……」
「なれば?
僕に苦しまされてるなら、僕は別に構わない」


乱歩さんは物騒なことを言いながら口づける。
私が口付けのとき、鼻で呼吸するのが出来ないのを知っているから、乱歩さんは噛みつくみたいに私の唇を奪い続けた。

(悪戯好きな探偵、或いは、確信犯な怪盗)



2019/12/24 硝子屋
【Merry Christmas!】#3

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