▼.休憩中に甘味は必須 ページ12
「安吾先輩、そろそろ休憩しませんか〜?」
彼女の声にはっとして、手が止まる。
今日で徹夜は何日目だろう。いつのまにか、周りの職員は彼女を除いて誰もいなくなっていた。椅子に座ったまま、声をかけてきた彼女に顔を向ける。
「A」
「はい」
「ここは職場です。そして私はあなたの上司だ。
名前で呼ぶのはやめなさい」
そうたしなめれば、彼女はきょとん、として、しかしすぐに、くす、と笑みを浮かべる。何だ、と眉を潜めれば、ごめんなさい、と言いながら肩を震わせている。
「……言いたいことがあるならはっきり言って下さい」
「え……ふふ、えーっと……その。
……坂口先輩、私のこと職場で名前で呼んだら、誤解されちゃいますよ?」
上目遣いで、彼女はからかうように囁く。二人っきりの職場で何を言っているんだか。
「……別に、もう誰もいませんし、構わないでしょう」
そう言えば、彼女はにっ、と笑い、「そうですよね!」と頷く。
「だったら私が“安吾先輩”って呼んでも問題ないですよね!」
そう言って、彼女は満足そうに笑う。
そこまできて、僕は自分が脳を酷使しすぎたことに気付く。
彼女のこの程度の引っ掛けならば、いつもなら容易く回避できただろうに、今は彼女の思うツボ、だなんて。
異能特務課でありながら、なんて情けない。
……それに。
彼女に主導権を握られるのは、なんとなく、嫌だ。
僕は席から立ち上がり、彼女の細い手首を捕らえて、ぐい、とそのまま抱き寄せる。
ぎゅ、と抱き締めれば、「安吾先輩、」とAの戸惑った声が聞こえてくる。
「……どうしたんですか?」
「……糖分補給です」
その細い首筋に顔を埋めれば、ふわ、と柔らかな甘い彼女の香りがした。
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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫 - あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月25日 6時