78話 ページ32
ギギ、と振り向くと、そこに立っていたのは案の定悪魔、いやぶるーくさんで、私と目が合うとニコッと笑った。笑みが黒い。
ガチャン、と扉を閉められた。ここは行き止まりだ。万事休す。
じりじりと距離を詰められる。話せないから仕方ないのだけれど、無言のぶるーくさんは自国の彼より怖いかもしれない。
じわじわ後ずさって、やがて窓に当たった。ちら、と見れば、鍵はかかっていないようだった。
______この状況を脱する案を、一つだけ思いついた。
ただし、それをやってしまうと別の意味で危険になる。私がスパイだとバレてしまう可能性があった。
今ここで彼に捕まるのと、スパイだとバレて捕まるの、どちらが良いか天秤にかけて、流石に答えはすぐに出た。両手を挙げる。
「いやぁ、ぶるーく様……足がとても速いのですね。まさかここまで追い詰められるとは思ってもいませんでした」
言いながら、視線は窓へ。ゆっくりと足音が近づく。
「でも、私は降参はしませんよ。まだ勝負は終わっていません」
覚悟を決めて、前を見る。楽しそうに笑う彼の姿がすぐ目の前にあった。
それでは、いざ尋常に_______
「_______えい!」
ぎゅう、と、目の前の彼にタックルする勢いで思い切り抱きつく。流石に驚いた顔をした彼の腕が、私の体に触れる前に、
カラーン、カラーン、と、朝を告げる鐘の音が鳴り響いた。
____________________________
Aちゃんが窓から見たのは時計です。タイムリミットまで残り30秒でした。
字数あるのでちょこっとだけAちゃんについてのイメージを書くんですが、基本的に彼女は自分自身に関してはとことんポンコツです。"自分に対して向けられる感情"に対しては特に鈍感です。それは、育ってきた環境もあるでしょうけどやっぱり性格なのかなと思います。
余談ですが彼女はトロッコ問題を出された時、『自分が間に入ってトロッコを爆破する』と答えました。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時