76話 ページ30
しかし、人1人抱えていては走るのは厳しい。どうする、と考えて、「な、な……」と言って呆然と突っ立っているレイアが目に入った。お取り巻きは逃げたのか、彼女しかいない。
「ちょっと、持ってて！！」
「え？……えぇ！？」
驚く彼女に水色リボンの子を押し付ける。かなり困惑した様子で受けとって、「重い！！ちょっと貴女、ダイエットなさい！」と悲鳴を上げた。その言葉に、女の子が「は___何よ、失礼ね！」と反応する。意識は戻ったようだ。
「じゃあ、今すぐ逃げて！」
「逃げるって____貴女は！？」
「私は大丈夫、早く！！」
言うと同時に、床を蹴って飛ぶ。彼女たちと反対側、つまりぶるーくさんの背中側へと回った。自然と彼の目がこちらを向く。
それを合図にしたかのように、2人が走り出した。手近にあった扉の中へ飛び込んで、数秒の後、ガチャン、と鍵がかかる音がした。彼の瞳が一瞬そちらを向いて、再びこちらへ向けられた。
どうするの？ とでも言いたげな、楽しそうな表情。
……この顔を、私はよく知っている。脳裏に、「遊んでーや」と言いながら、心底楽しそうにナイフを振り回して追いかけてくる仲間の顔が思い浮かぶ。頭を振って、消した。
おそらくば、この目の前の人の今の心境は彼とそう変わらないはずだ。ならば、私はどうするべきか。
「えっと、ぶるーく様？」
尋ねれば、頷かれる。この人はぶるーくさんで間違いないようだ。確かこの人は、喋れなくなったんだっけ。
「基本的に、争いは避けたいのですが……もしあなたが朝の運動をしたいと言うのなら、彼女達ではなくて、私が相手になりますよ」
そう言えば、にわかに彼の顔が輝いた。やる気らしい。なんてこった。面倒だからやめるってならないかちょっと期待してたのに。
「……わかりました。でも、私は、残念ながら武器とか持っていないです。なので_______公平に、鬼ごっこでどうです？ 私が逃げます。このお城、走っても大丈夫ですか？」
肯定。自分から振っておいてすでに後悔しているけど_______やるしかないようだ。
「じゃあ、321でスタートです。朝の鐘が鳴るまでに捕まらなければ私の勝ち。捕まればあなたの勝ち。いいですか？いきますよ_______3、2、」
いち、という言葉と同時に床を蹴って駆け出す。後ろから追いかけてくる気配をひしひしと感じながら
____捕まったら最後な気がする鬼ごっこがスタートした。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (
レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます！ (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか？ (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンセットマリン | 作成日時：2021年9月7日 18時
