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「……実はね、取っておいたんだ」
もう片方の手でポケットから何かを取りだした先輩は私の方にそれを握りしめたまま拳を差し出した。
『………なん、ですか？』
「あげる」
先輩の手から、私の手に転がり落ちたのは、
『……これ、……先輩の？』
ひとつ残らず取られているはずの、学ランのボタンだった。
「そうだよ、俺の。……ここのね」
トントンと、人差し指で自分の胸を叩いた先輩は
未だ優しく触れられている私の頬をゆっくりと指で撫でた。
「俺、自分がこんなに勇気の出ない男なんて、知らなかったよ」
私を見つめる瞳は、優しくて、でも射抜くようで、今まで先輩とこんなふうに向き合ったことがなかったからか、驚くほど胸が痛くて、だけど心地良くて。
何度もギュッと鷲づかみにされた心臓を、
また、先輩の仕草や声でいとも簡単に掴まれる。
「Aちゃん、」
『……はい』
「……初めて会ったときから、ずっと好きでした」
ほのかに期待していた想いは、計り知れないほど温度を上げた。
熱さが涙に変わって、頬にこぼれ落ちた滴を、先輩は唇でチュッと音を立ててすくい上げた。
「あ…、Aちゃんの気持ち、……俺の勘違いじゃない…よね？」
順番間違えたかも、と苦笑いした先輩は少しだけおもしろかったけど
笑みがこぼれてもなお涙は止まらなくて、声にならなくて何度も何度も頷いた。
よかった、と笑いながら息を吐いた先輩は、私の髪を整えるように撫でて、両手で包み込んだ。
「Aちゃん、……俺と、付き合ってくれる？」
私の返事は、ふたりの距離に代わって
近づいた先輩の綺麗な顔を見つめた後、ゆっくりと瞳を閉じた。
fin.
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hinata(プロフ) - ゆかさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！ずっと見てくださってるなんて…ほんと嬉しすぎます！(；；)そう言っていただけるならいくらでも書きますので！これからもぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年2月16日 23時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - 月さん» はじめまして！！読んでいただきありがとうございます(；；)リピ読み…！めちゃめちゃ嬉しいです！！！また気が向いたときにお読みいただければ幸いです…！コメントもありがとうございました！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 更新嬉しいです！ずっとお気に入り作者登録しております。また新作書いてください！飛んできますので！笑 (2021年2月15日 0時) (レス) id: 3890b64e54 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - hinataさんはじめまして。完結おめでとうございます！保健室とベッド好きすぎてリピ読みさせてもらってます！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - AAAさん» わああとっても嬉しいです(；；) ドキドキしながら投稿したのでそんなこと言っていただけるなんて、、 わたしも頭の中で続編考えてしまいました笑 これからもよろしくお願いします！m(_ _)m (2020年4月14日 19時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hinata
| 作成日時：2019年8月18日 5時
