保健室と卒業-Yuta.J- 1 ページ34
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「ちょっとかくまって」
『先輩！』
息を切らした先輩は、肩を上げ下げしながらはーっと溜息をつく。
そんな姿を、他人事のように大変だな、と思いながら
今日ずっと言いたかった言葉を投げかけた。
『………卒業、おめでとうございます』
「うん、ありがとう」
まだ息が整っていないのか、先輩はゆっくりと深呼吸をしていた。
いつものように、あらゆる女子生徒から逃げてきたのだろう。
普段きっちりボタンの閉められている学ランは、今日は全開。
ボタンが一つ残らず消えているから、やっぱり先輩はモテる。
「……Aちゃん、ここにいるだろうなって思ったから、Aちゃんのとこに逃げて来ちゃった」
そういうところが、モテるんだって。
じわりとこみ上げた涙を必死に引っ込めたのに、先輩は私の気持ちなんて知らないで悪びれもせずニコッと笑う。
『……逃げ場になるには、最適ですかねっ』
「ふふっ、懐かしいね。俺とAちゃんが知り合ったのも、俺が逃げてきたとき？」
『ですね(笑) 私が入学して間もない頃で。先輩が新入生から追いかけられてて』
「で、たまたま逃げ込んだ保健室に、Aちゃんがいて」
あのときは、学校の人気者の先輩とこんなふうに喋れるなんて思ってもみなかったけど。
初めて会ったとき以来、遠くから目が合えば笑顔で手を振ってくれたり、廊下ですれ違えば声を掛けてくれたり。
そんな日々も、今日で終わるんだ。
『楽しかったですか？3年間』
「楽しかったよ。特に、Aちゃんに会ってからの1年間は。」
『……嬉しいこと言いますねっ』
周りは私を、先輩の特別だとか言う。
先輩が親しげに話す後輩は私以外いないからだって。
だけど、先輩が私と話してくれるのは、私が先輩にあからさまな好意を見せないからだと思う。
先輩は、自分に好意を向ける女の子とはあまり話さないって聞いたことがある。
その気持ちに応えられないからだろう。
だから、私が先輩に好意を示した時点で、私と先輩の関係は終わりになる。
卒業だから、もう会えなくなるから、最後に自分の気持ち明かしてもいいかななんて思ったこともあるけど
でも、先輩との思い出は、いい形で残しておきたい。
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hinata(プロフ) - ゆかさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！ずっと見てくださってるなんて…ほんと嬉しすぎます！(；；)そう言っていただけるならいくらでも書きますので！これからもぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年2月16日 23時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - 月さん» はじめまして！！読んでいただきありがとうございます(；；)リピ読み…！めちゃめちゃ嬉しいです！！！また気が向いたときにお読みいただければ幸いです…！コメントもありがとうございました！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 更新嬉しいです！ずっとお気に入り作者登録しております。また新作書いてください！飛んできますので！笑 (2021年2月15日 0時) (レス) id: 3890b64e54 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - hinataさんはじめまして。完結おめでとうございます！保健室とベッド好きすぎてリピ読みさせてもらってます！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - AAAさん» わああとっても嬉しいです(；；) ドキドキしながら投稿したのでそんなこと言っていただけるなんて、、 わたしも頭の中で続編考えてしまいました笑 これからもよろしくお願いします！m(_ _)m (2020年4月14日 19時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hinata
| 作成日時：2019年8月18日 5時
