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今までに、こんなにも朝が来るのが
早かった日はなかった。


だっちゃんと、寝る前の言葉を交わしてから
すぐに寝付けるはずもなく、
何度も、何度も、頭の中をループしたのは
真司郎が発した言葉だった。



フラついた事なんて、ないのに、



わたしの頭の中では、真司郎が発した言葉を
否定するものばかりで。



昔から、言葉数が足りなくて、
スタッフからも勘違いされることは度々あった真司郎だけど、
メンバーや、長年付き合ってきたスタッフは、
それを理解して、真司郎の気持ちをちゃんとわかってきたのに、


その真司郎の気持ちが、
今は私には、わからなくて、
それが辛くて仕方なかった。



そんなことを考えてたら、いつもの間にか時間は経っていて、
無理やり気持ちを鎮めて、


寝たのは、一瞬のようにも感じた。






「おはよ、」

日「あっは、寝れてねぇな。」

「うるさいよ、そっちこそ」

日「俺はこれでも十分だし。」




気を遣ってくれてるのか、
だっちゃんは、大きな事は言わなくて、
私たちは、少し早めに家を出た、


今日は、武道館だ。



キムラくんが、運転してくれている運転中も
会話なくて、


ただその心地よさに、
少しだけ胸が温かくなった。






＊ ＊ ＊





会場の控え室、
女子部屋にはまだ誰もきてなくて、
マネージャーのなかちゃんだけが、
私を迎えてくれて、なにやら心配そうにしてくれている彼女に、一言声をかけてから控え室に入る。



静かな部屋で、
昨日の真司郎の言葉が、未だにループする。



ふと、鏡に映る自分の顔を見ると、
胸元に飾られているネックレスが目に入る。



去年のホワイトデーに、
お返し、と言われて真司郎から渡されたネックレス、


思えば、指輪だって、ブレスレットだって、
真司郎との思い出ばかりで、
まだ想い合える前からのものも、
全てが私の宝物で、


どんな事があったって、
真司郎と、離れたって、


私の心は、真司郎でいっぱいだった。




じんわりと、目の奥が熱くなる。
こんな事で、真司郎と離れる事はしたくない、
私の一番は、


私は、真司郎が大好きだって、ちゃんと伝わってほしい。



ぎゅっとネックレスを握る。




気持ちを、切り替えよう。






今日は、ライブだ。
みんなの前で、輝く日だから。





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