r a i n b o w _ ＋ 5

183 ( side Atae. ) ページ4

.





日高に呼ばれたのは、
俺でも、直也くんでもなくて、千晃やった。


あの後、控え室に戻って来た千晃と実彩子が
異様な雰囲気に居た堪れずにいた頃、
直也くんが日高との電話から戻って来て、
千晃が、直也くんに頼まれて日高の元へと、荷物を届けに行ったのを、


俺は、なにも言わずに見ることしか出来なかった。





なんでなんやろ、いつやって、
昔からAの隣にいたはずやのに、


いつだったか、ツアー中に喧嘩したことを思い出す。

それとはまた違う、今回の事。




揺らいだAの顔が、頭から離れなくて、
自分の言葉の浅はかさを知るだけ。




秀「なぁ、真司郎。」

與「うん、」

秀「うん、じゃなくて。明日から本番、そんな顔したまんまじゃ困るんだよ。」

與「…ごめん、ほんまごめん、」

浦「秀太。今日はもういいよ、」

秀「でも、…」

浦「とりあえず今日は解散な。明日に備えて、ゆっくり寝る事。いいね、」




直也くん以外の他のメンバーは、
俺が留学を考えてることなんて知らないから、
なんでこんなことになったかなんてわからない、という状況のまま、

直也くんが気を利かせて、メンバーに解散と言い聞かせてくれている。



何か言いたげなにっしーは、そんな秀太を連れて楽屋から出て行く、


千晃は戻ってこなくて、
実彩子も女子の楽屋に戻って、


元いた控え室には、俺と、直也くんだけ。





浦「真司郎、俺らも帰ろ。」

與「…俺、間違ってたんかな、」

浦「俺に話すこと？」

與「ううん、ちゃうねん、…それは、ちゃうねんけど、直也くんに言うのは、一番先に…」

浦「うん、わかった、わかったから、とりあえずさ一回落ち着いて、話して。今日は幾らでも聞くから、俺のうちいこ。いい？」



いつやって、直也くんは優しく見守ってくれる。
やからこそ、そんな人がいるのに、こんなことになってしまったことに申し訳なさが募った。



言葉数が少なすぎて、
それに後悔したって、もう、Aを傷つけたことは変わらない。



泣かない、なんて昔からよく言われてたのに、
この時ばかりは、自分の未熟さと直也くんの温かさに、目の前が揺らいだ。





→

184 ( side Urata. )→←182

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す