君と笑う、おうち時間。

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いつもの教室、いつもの時間。


少しずつ集まる生徒、少しずつ埋まる空席。


ただし




「待ち人、来ず」




ひんやりとした隣の空席をチラ見して、誰にも聞こえないくらいの小さな声でそう呟いた。





近頃の櫻井くんは、授業を欠席する日がこれまで以上に多くなったように思う。




これはあくまでも私の中での櫻井健一朗像の話になるけど。


性格はちょっと変わってるところはあるにしろ、基本的には真面目なタイプだし、春の健康診断を受けた後も「視力以外は大丈夫やった〜」て呑気な声で報告してきたから、健康面も問題ないはず。




現に今日だって、



"明日授業終わり空いてる？飯奢るから休んでた分のノート見せて！"




昨夜のバイト終わりに携帯をパカっと開けば
いつもの連絡が入っていて





(お待たせしましたー、ビーフシチューハンバーグのお客様)

『あ、はいー』

(鉄板たいへんお熱くなっておりますので気をつけてお召し上がりください)


『はーいありがとうございますぅ』



美味そうやわぁ、と呟き律儀に手を合わせてからハンバーグを頬張っている彼と

いつものファミレスで、いつも通りの時間を過ごしている。




櫻井くんと待ち合わせするまでの間に色々と考えを巡らせてみたものの。

絶対に休まなければいけない理由がなんなのか、さっぱり見当がつかない。



というか、そんなひとりで名探偵ごっこをする時間があるのなら目の前の彼に直接聞けば良い話じゃないか。なんでそんな単純なことができなかったのだろう。





「櫻井くんさ、」
『ん？』



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