春風 ページ8
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『十一時くらいに
メロンパン持って帰ったよ』
「なに味？」
『全種類コンプリート』
丸いブルーベリーを噛むと、
さっぱりした甘さが口に広がる。
「すごいね。メロンパンが好きなのかな」
『分かんない、でも珈琲は苦いのが好きらしいよ』
ラパンさんが使わなかった角砂糖は、
ウヌが飲んでいた珈琲に溶けてしまって、
私はなんだか残念に思った。
「ふーん」
ウヌはアイスクリームを食べきって、
厨房のシンクで洗い物を始めた。
私はソファーから立ち上がり、
近くの窓を開けてほんのり冷たい風を浴びる。
『ウヌ』
そう声をかけたけれど
蛇口から流れる水の音で聞こえていなかった。
行き場のなくなった視線は、
仕方なく月を見上げて、ブルーベリーを噛む。
こうしているとラパンさんと
見つめ合っているみたい。
そう考えたらとても恥ずかしくなって目を逸らした。
ラパンさんがメルを去った後、
一時頃に水玉のワンピースを着た
カルピスみたいな女の人が来て、
フランスパンを購入した。
それから赤い髪の古着屋さんが
お昼休憩に珈琲を飲みに来て、
お土産にお洒落な服を置いて帰った。
十六時頃には郵便屋さんが
配達に来て、お手紙が一通届いた。
長方形の白い便箋には薄桃色のリボンが
きゅっと結ばれている。
差出人は高校時代の同級生で、
結婚式の招待状だった。
〆
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あんず(プロフ) - なんか憧れるパン屋さんで、すごい行きたくなりました！、 (2018年6月2日 0時) (
レス) id: c19e297b48 (このIDを非表示/違反報告)
Eill Rie(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。メルさんの小さなパン屋さん、実際にあったら行ってみたいものです^^ (2018年5月21日 12時) (レス) id: 3073d54efc (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - 名刺とお店の絵凄く可愛いです！！こんなお店があったら毎日行きたいですw (2018年5月12日 13時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
早苗 - とても面白い作品で大好きです。これからも応援してます！ (2018年5月7日 22時) (レス) id: 9d45fbd028 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年4月29日 21時
