はちみつ色の日々 ２

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「なにそれ、失態とか逆に見てみてんだけど」

「え？！絶対無理ですっ」

「まぁまぁ飲め飲め？」

「あっ、もう完全に失態狙いに来てるじゃないですかっ」

「あはは、バレた？」




小さなテーブルを挟んでる距離感の北山さんの声は
とっても甘く感じた。

普通の会話をしてるだけのはずなのに
笑い声も、私をからかう声も。


不思議とそれからずっと会話も尽きなくて、一本目を飲み終える頃
北山さんが少しソワソワし出した空気を感じ
私まで変に心臓が高まってくる。




「二本目、いく？」

「あ…、うん、いこうかな」



取ってくるよ、って冷蔵庫に向かってくれた北山さんは
二本を手にしながら直ぐに戻ってきて




「こっち座っていい？」




って、さっきよりもさらに近い場所
私の隣に腰掛けてきた。

返事をする間もなく座り込んだ彼は
プシュっともう缶ビールを開けてる。




肩が触れそうで触れない距離、

はい、って私に渡してくるチューハイを受け取るにも顔を直視出来なくて
手だけを差し出し、ひんやりしてるその缶を受け取った。

その時、

うーん…、と雑魚寝チームの方から寝ぼけてる様な声が聞こえてきて
ガサゴソと動いてるのが見える。

すぐにその声と動きは止まったけど
なんとなく二人で声を発しにくい雰囲気になってしまったことで
少しだけ沈黙が流れた。





すると、トントンと不意に肩を叩かれて



「これ」




って、近くに偶然あったメモ帳とボールペンをテーブルに置いてくる。
そのペンを手にすると、するすると文字を書いてく北山さん。





「筆談……？」





"あいつら起きそうだから筆談で話そ"

そう書かれた文字は綺麗な字で、顔を上げると至近距離で目が合い
私は静かに頷いた。





"かんぱーい"


またすぐに書かれたその文字に
私も二本目のチューハイを開けて、静かに缶と缶を合わせる。

別に他の人が起きちゃ駄目ってわけではないのに
妙にドキドキしてしまうこのシチュエーションが
余計に私の気持ちを高ぶらせてく気がした。

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