はちみつ色の日々 ２

＊ ページ39

.


「飴……」

「何？なんだと思った？」

「……」



私が合鍵だと思って気合を入れてたということも
絶対みっくんは気付いてる。

ふふん、って楽しそうに笑ってるから
飴を手のひらから奪って口にポイッと入れた。



「意地悪……っ！」

「なんのことかな〜」

「もういいよ、いらないもん」

「ほんと？」



本当は…欲しいけど…。
って言葉をイチゴの甘酸っぱい味と一緒に飲み込んだ。

素直に渡してこないってことは
少なからず合鍵を渡すことに抵抗感じてそうだし。



「うん、大丈夫。
ただ言ってみただけ、冗談だから」



歯磨きしてくるね、ってみっくんから離れて洗面所まで来て
はぁ…、と思わずため息をついてしまう。

別にそこまでどうしても欲しいわけじゃなかったけど
いざ渡してくれないとなると、やっぱショックだなって。

みっくんは寂しがり屋だけど、一人の時間も大事にしたい人だし
分かるよ…分かるけども…！！



「なんだかなぁ……」



軽く口にしちゃったことで
なんだかモヤモヤが残っちゃった。

そのもやつきを消すためにも
鏡の前で自分の頬をパンっと叩いて気合を入れて、
もう溶けてなくなった飴の後味も全て消し去るように
いつもよりも丁寧に歯磨きをしてやった。






.






「寝る？」

「うん」



リビングに戻るともう寝る準備万全なみっくんがいて
一緒に寝室へ。
少し冷たい大きなベッドに一緒に入って
くっつきながら眠りにつく。

この幸せすぎるこの何気ない日常に
合鍵がなんだってんだ！って気持ちになってく。



「ふぁ〜ぁ、眠い」

「そんな眠いか？」


こっちに体向けてくれてるみっくんに
向かい合ってくっつくようにしながら
同じ毛布にくるまった。


「今日私早起きしたんだもん、仕事終わってなかったから」

「ふーん珍しいな、でも明日休みっしょ？」

「そうだけど、みっくんは仕事だもんね〜」

「休みだったらな、ゆっくり出来たんだけど」


こうは言ってるけど、同じ休みになることがあまりなくても
それでも結構満足してる。
好きだから、一緒にいるだけで幸せだし
何もしてなくても楽しいし。

＊→←合鍵

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す