はちみつ色の日々 ２

合鍵 ページ38

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「合鍵……、欲しいな。」



みっくんと二人でドラマを見ていたら
彼氏が彼女に合鍵を渡すシーンが流れて、ふと思った。
結構付き合いも長くなってきたのに
私、合鍵とか渡される気配もないじゃんって。



「ん？」

「合鍵とか憧れるなぁ…」

「えーそんなん必要？」



言うと思った。
みっくんはそういうとこ、全然分かってない！
物理的に必要、不必要とかの問題じゃなくて
気持ちの問題なのにさ？！



「別にいいけどっ！！」

「全然よくない言い方だな」

「いや、でも本当にいいっ。
こういうのは無理やり貰っても駄目だもんね、意味ないもん」

「ふーん」



欲しいな、とか自分で言っといたくせに
これは自分でも反省しちゃうほどの面倒くささだなって気付いて
早々に諦めてテレビのチャンネルを変えた。

そもそもこのテレビが、

「じゃあ〜、ほれ」



足取り軽くソファから離れたかと思うと
すぐに戻ってきたみっくんの両手が
グーにして前に差し出された。



「え？」

「どっちでしょう？」

「え？だからなに？」



やろうとしている事の意図がわからず首を傾げると
両手をグーのまま、更に目の前に差し出される。



「正解当てたら、ご褒美入ってるよ」

「ご褒美？！」



それはもしや……？！

話の流れ的に、この両手のどちらかにはきっと
この家の合鍵が入っていると察知。

思わずゴクッと生唾を飲んでみっくんを見上げた。



「いいの……？！」

「どうぞ？」



当ててみろよ、ばりに挑発的な目を寄越すから
気合を入れて右手と左手を交互に見る。



「こっち…、いや、こっちか…？」



心理的に人は左手に隠すことが多いのかもしれないけど
みっくんのことだから右手かもしれないし…。



「タイムリミットまで、あと十秒」

「ええ？！」

「じゅー、きゅー、」

「わわっ、待って待って！！」



急かされるからもう直感で
えーい！と右手を掴んでみる。



「ファイナルアンサー？」

「ファイナルアンサー！」



きたもんたさんの目力に頷くと
ゆっくりと右手を開いた。

そこには……





「………なにこれ、」

「正解のご褒美でーす」



コロン、と出てきたのはピンクの包み紙の飴玉だった。

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