はちみつ色の日々 ２

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「おーい、まだ寝てんの？」



足音が止まったと思ったら
多分すぐそばでそんな声が聞こえてくるから
久しぶりのその声だけで、一気に心拍数が高くなる。

布団を被ってる暑さも相まって
クラクラしてきた。




「いつまで寝てんだよ」


「………」




いつまで、って宏くんが離れるまで私は冬眠してるって決めたんだもん。

あと少しで離れ離れだっていうのに
どうして直前で来ちゃうかな…、
また気持ちがぶり返しちゃうじゃん……。





「あーあ、せっかく来たのになー」


「………」


「寝てんなら、言えねぇなー」


「………？」




寝てるなら言えない……？

なにが、だろ。
訳も分からずとりあえずだんまりを決め込んでると





「せっかく、すきって伝えに来たのに」





え？！？！？！





ガバッ！！！と反射的に起き上がってしまって
一気に明るくなった目の前には、宏くんがふふんて得意げな顔をしながら立っていた。





「な、なに？！騙したの？！」




布団から出てきて欲しくて
"すき"とか言葉を利用したわけ……？！

そんな言葉に騙されてしまった自分が悔しくて
もう一度布団を被ろうとすると




「待てって」




その手を捕まれ、制止された。

その掴まれてる部分でさえ私の胸をときめかせちゃってること
きっと宏くんは気付いてないんでしょ。






「……放してよ、私は冬眠してるんだから」


「は？なにそれ」


「宏くんが離れてくまで冬眠してるって決めたの」


「バカだな、相変わらず」


「は、はぁ？！」




むっかーーーー！！！

この期に及んでバカとか！！
好きって言ったりバカって言ったり
どれだけ私の気持ちを弄べば……っ、

「でもそんなとこも好きだけどな、俺は」








「………へ？」






空耳？ってレベルの言葉が聞こえた次の瞬間には
今度は宏くんの手によって布団を被せられ
暗くて狭い空間に、ふたりきり。





「なっ、ど、どうした…の…っ、」




声が上擦る。

こんな布団の中にふたりきりだなんて
想定外すぎて、対応がわからなすぎて。





「ずっと俺さ、Aのこと妹みたいにしか見れないって思ってた」


「………うん、」




そんなの知ってる。
だから私、振られたんでしょ？

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