はちみつ色の日々 ２

＊ ページ35

━━宏くんside



「宏光、最近Aちゃんと会ってるの？」


「え？なんで？」





Aに不自然に避けられ始めてからしばらくたつと
やたらと隣近所から心配され始めた。

ついには母ちゃんにまで言われるし、
そんなに俺らずっと一緒にいたっけ？





「この前Aちゃん見かけたんだけど
魂抜けてるみたいな顔しててさ、
あと、珍しく男の子と歩いてた」


「え？」


「あらら、そこは気になっちゃうの？」


「……別に、妹みたいなもんだし変な男に引っかかってんじゃねぇかなって心配なだけ」


「宏光を好きになるくらいだから
男見る目はなさそうだもんね〜」


「どゆことだよそれ」




そのまんまの意味よ、ってそのままキッチンに捌けてく母ちゃん。

俺をディスってるつもりかもしんねぇけど
さりげにAんこともかなりディスってるしな。





「つーか誰だ、男って」





聞いてねぇぞ、そんな男。
高嗣か？この前俺がオススメしたし
素直にそこに従いそうだな、あいつのことだから…。



昔からそうだった。
俺の言うことは素直になんでも聞いて
突き放しても意地悪しても、泣きながらついてくる。
好き好き言って、真っ直ぐな目を俺に向けてくるから
いつの間にかその真っ直ぐな目がしんどくなってた。

俺はそんなにいい男でもねぇし
なんならその辺の男と同じ下心だってあるし、
ただその下心をAにぶつけるのは
なんか違う、妹みたいなもんっていうか。





でも、

この前本気で俺にぶつかってきたAを見た時
なんかよく分かんねぇけど、初めての感情がうまれた。

本気で傷ついてるAを前にして
胸が傷んで、うっかり抱き寄せたくなってて

この気持ちが
妹みたいな存在に対する気持ちなのか、
それとも…………。






.








━━━You side


今、何時だろう。

布団の中も飽きてきた頃
そっと顔を出すと、



トントン、って
タイミング良く部屋の扉が叩かれた。




「？！？！？」




驚いてまた布団をすっぽり被ると
カチャッて扉が開く音。

お母さんかな？って思ったけど
微かな足音だけで分かっちゃう、宏くんだって。

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