はちみつ色の日々 ２

ツンデレ上司 ページ28

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「おい、これ間違ってんぞ」


「え？」


「やり直ーし。残業決定ー。」


「えー？！」




十歳上の北山先輩。

私が入社した当初から
面倒を見てくれて、ビシバシ育てられた。

本当にビシバシと……、




「ついでにこれもな、頼んだ」


「残業決定なのに更に追加ですか？！」


「残業ついでじゃん？」


「(絶句)」




厳しすぎるくらい鍛え上げられてる。






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「あーあ、もう嫌い。北山先輩の悪魔」


「とか言って、好きなくせに」





デスクに戻ってこっそりそう文句を言えば
隣の高嗣がニヤニヤしながら。





「……好きじゃないもん」


「あーあ、北山先輩に言ってこよ」


「わあっ、待って待って！うそ！すき！」


「うっわ、好きだって、恥ず」


「……ばか高嗣」





からかわれて火照った頬を隠すようにしながら
チラッ、と北山先輩の方に目をやると


バチッと目が合った。





「へ？」


「ん？どした？」


「あ、いや……」





思わず漏れた声に首を傾げた高嗣を見てから
また改めて先輩に目をやるけど、もう違うとこを見て仕事に取り組んでる。

さっき目が合った気がするけど…
私の事見てた気がするんだけど…、

気のせい？





「そいえばA残業なら今日の飲み不参加？」


「だね、行けないから皆で楽しんできて」




会社内の数人での飲み会は月イチくらいで開催されてるんだけど
最近それが私にとっては億劫だった。

関口先輩って人が
お酒入るとやたらと私に絡んできては
ボディタッチ激しいし、面倒くさくて
でも皆に慕われてる関口先輩だから誰にも愚痴れなくて。

だから残業があって助かったかも……、なんて。





.







「ああぁぁ……、終わらない……」




残業をいざしてみると
飲み会に行ってた方がマシじゃないかなってくらいしんどいぞ。




「もう、なんでこれ計算合わないんだろ……、
んー……、あれ？！ゼロひとつ多いじゃん！」





最悪…と書類まみれの机に項垂れて
薄暗いひとりぼっちの社内をボーッと見回した。




帰りたい……
そもそも北山先輩がさ？！
もうちょっとフォローしてくれても、っていうか残業決定の上に更に追加の仕事を頼んでくるなんて意地悪すぎない？！

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