はちみつ色の日々 ２

＊ ページ26

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「なーんて、そんな顔真っ赤にすんな」


「なっ、！させたのは宏光じゃん…っ」





熱い頬を抑えながらそう言うと
んふって笑ってる。

おかしいおかしい、感情がおかしい。

こんなにもドキドキするなんて私
どうなっちゃってるの。





「ちょっとさ、話してもいい？」


「ん？」





グラスをコトンとテーブルに置いて
改まったように。

さっきの一気飲みでちょっとだけクラクラしてる思考を冷ましながら
私も改めて宏光と向かいあった。





「俺さ、もういい歳なのよ」


「え？うん、35だっけ？」


「そう。
いつまでもこの仕事続けていけるとは思ってねぇし
そろそろ潮時かなって思ってて」


「そう……なの？」





いきなりそんな話を始めた意図は分かんないけど
まだまだ現役でいけそうなほどの、ビジュアルな気はするんだけどな。





「そんでさ、叔父さんの会社があんだけど
叔父さん結婚してないし継いでくれる人もいないから、継がないかってずっと言われてたんだよね」


「え、すごいね。めちゃくちゃいいじゃん」


「うん、だよな」


「う……ん？」





なんだろう、人生相談かな？

私が普通のOLだから
一般的な意見が聞きたいとか？





「でも途中から入っていきなり会社継ぎます〜とかだと
周りの人から何か言われたりはあるかもね」


「そこなんだよな、だから人一倍頑張ろうとは思ってるけど。
一応周りとの付き合い方とかはホストで学んだし」


「あはは、そうだね。
お姉様方なら宏光はすぐ落とせそうだし」


「男もいけるしな、俺は」


「え？！そ、そうなの…？」


「いや、違ぇよ？そういう意味じゃねぇよ」



って。
確かに年上の男の人の懐に入り込むのも得意そう。

ホスト辞めちゃうのかぁ、なんて
漠然と考えてると
次に発せられた言葉が、





「だからさ、俺と付き合わない？」




突拍子もなさすぎる言葉だった。





「……へ？」




それに私は一文字しか返せなくて
文字通り、開いた口が塞がらない。






「いや、俺もさ一応けじめがあって。
誰かと将来考えて付き合う時はこの仕事やめようって」


「う……ん、」


「だからAとの将来のために会社員なる。
それなら安心っしょ？付き合えるっしょ？」


「だっ……、ま、待って…！」





話に全然ついていけてないのに
話がどんどん飛躍しすぎて、内容が頭に入ってこない。

自分自身を落ち着かせるためにも
一旦話を遮り、彼の目をまっすぐ見た。

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