はちみつ色の日々 ２

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「Aは自炊とかすんの？」


「ある程度はね〜、一応女だし一人暮らしだし」


「得意料理は？」


「うーん、オムライス？」


「いいね、食いてぇ」


「え、そんな食べてもらうほどはおいしくないよ、普通だもん」


「普通がいいのよ、普通が」


「だって宏光が普通じゃないじゃん、ホストだし……」




って、ここまで言ってしまったって思った。

普通じゃないだなんて失礼すぎたなって。
チラッと宏光を見るとなんでもない顔してるけど
頑張ってる仕事をそんな風に言うのはさすがにダメだよね。





「いや、でもホストも立派な仕事だよねごめんっ。
ついあんまりいいイメージないから偏見持っちゃった………、っていや、違うっ。
いいイメージないっていうのは私の個人的意見っていうかっ、」

「ぷっ、落ち着け落ち着け」




喋れば喋るほど沼にハマってく私に
笑いながらフォローを入れてくれて、





「まぁ一般的に考えたら普通ではないだろうな、俺がしてることは」




でも案外楽しいんだぞ、って
私のことも仕事のことも傷つけない優しさ。

その優しいトーンに胸がキュッてなる、
もう完全に私、宏光にのめり込んじゃってるんじゃないかな……。






「……なんかごめん。
こうやって宏光と話してるとホストって感じしなくて、
俺か俺以外かどっちがタイプ？みたいなこと聞いてきた人とは思えない」


「あれはだって営業トークだしさ〜」


「いつも通りの宏光の方が私はす………、」




はっ！！！

や、やば、勢いで"好き"とか言うとこだった。

慌てて言葉を止めた私に
不思議そうな顔をしてるから、話題を変えようととりあえず目の前のグラスワインを一気に喉に流し込んだ。





「わっ、お前そんな飲むなって」


「だ、大丈夫！！」





落ち着け落ち着け、
好きじゃない、私は宏光のことなんて。

宏光のことなんて……、

好き、じゃないもん………。






「んなこと言ってまた酔っ払って倒れたら
次は介抱だけじゃ済まないけどな？」





その言葉に、ぶわって体に流し込んだアルコールが
一気に顔を熱くさせる感覚に陥った。

急にホストで培ったその技を出すの
やめて欲しい、反則すぎる。

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