はちみつ色の日々 ２

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「………これ？おいしいものって」





次の日、色んな気持ちを胸に宏光の部屋にお邪魔すると
あの日と変わらない部屋に、並べられてた料理たち。

その料理が想像よりも茶色いというか
ホストらしからぬ質素というか。





「おい、なんだその反応は」


「あ、いや、ううんっ、美味しそうっ」





じとっ、て睨まれたから慌てて褒めてみるけど
意外だっただけで、本当に美味しそうではあるのよ？




「最近さ〜たまに料理したりすんだけど
どうせなら誰かに食ってもらおっかなって」


「生姜焼き？」


「そうそう、俺の大好物」


「へぇ〜、すごいね」




生姜焼きの他は、割と華やかな料理たちかも。

パスタとかサラダとか生ハムとか
多分生姜焼き以外は買ってきたっぽいけど。





「食お、酒も飲むっしょ」


「あ、うん……でもちょっとだけ」


「だな、酒弱いもんな」





いひ、って意地悪に笑われて
あの日を思い出されたみたいで恥ずかしくて目を逸らした。

そんな私とは裏腹に
楽しそうにグラスを持ってきて、手馴れた様子でワインを開けてる。

さすがホスト、
ワインがよく似合う。






「ていうか、生姜焼きにワイン？」


「肉ならなんでも合うよ」


「うっそ〜？」





いいから座れって、って無理やりラグに座らせられて
テーブルを挟んで向かい合う形。

トクトク注がれてく綺麗なワインの色に見とれてると
乾杯、ってグラスを合わせてくる。





「乾杯」





何に乾杯か分かんないけど
なんだか、楽しい。

久しぶりにウキウキというか
自然に笑顔になってしまって
急かされるように生姜焼きを口にすると、






「んん！おいしいね！」


「だっろ〜？今日はまじ丁寧に作ったから」




どやりながら宏光も口にして、うめーって自画自賛。





「あれだね、ワインより白米が欲しいなこれは」


「まぁ確かに、それもありだな」


「それもあり、っていうか
生姜焼きは普通白米がお供だって」


「だってうち炊飯器ねぇし」


「ええ？！炊飯器ないの？！」





炊飯器なんて生活に最低限必要な家電だと思ってたから
大袈裟に驚いてしまうと
男の一人暮らしなんてそんなもんだろ、って。


ううむ……そうなのかな。

でも彼女とかいることもあるだろうし
そうしたら手料理とか……って考えたとこでやめた。

そんなこと考えたところで
私にはなんの利点もないなって。

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