はちみつ色の日々 ２

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「ごめんAっ、これ粗大ゴミ出しといて〜」





深夜………、というかもう早朝だけど
袋に入った粗大ゴミを持ってきたスーツ姿の宏光は
これから寝るから決まった時間に出せる自信が無い、と私の部屋にやってきた。

彼と出会ってから一ヶ月。
あっという間にこんな関係になってしまったのだ。





「ええ？
私、今月粗大ゴミ出さないしめんどくさ………」


「んだよ〜
疲れて帰ってきてんだからゆっくり眠らしてくれよ〜」


「やだよ、酔っ払い」


「ひっで！酔っ払いたくて酔っ払ってんじゃねぇのに」





仕事に行く前の宏光は好きだけど
仕事終わりの宏光は好きじゃない。

女の甘い香水がベッタリついてるし
仕事とは言ってるけど、楽しんできた考が感じ取られちゃうから。





…………って、






「え？」





思わず声に漏れた。

私、何でそんなこと思っちゃうんだろ。

仕事に行く前の宏光は好きって……



好き…………？？







「なに？どした？」


「……あ、ううん。
分かった、これ出しとくから」


「さんきゅ、お礼に今度うまいもん食わしてやるよ」


「うん……」






嫌悪感しかなかったあの初めての出会い、
ホストっていう職業に偏見を持ってるのは確かだけど
そのホストの仮面を外してしまえば、ただのいい男なんだもん。




絶対ホストっていう仕事の方が大変なのに
仕事終わりの私にお疲れ様って言ってくれて、甘いスイーツをくれたりする。

ある日、残業があって宏光と出くわさなかった日は
心配してくれてド深夜に私の部屋を訪ねに来てくれた。
なんかあったのかと思ったわ〜、って笑いながら
多分仕事を早く終わらせてきてくれてた。

宏光の仕事が休みの日でも
わざわざ私の退勤時間に合わせてコンビニに出かけてくれてて
一緒に肩を並べてマンションへと帰ったり。


連絡先も知らないし
お互いの部屋に入ったり、一緒に出かけたりも全くないのに
ここまで彼に惹かれてる自分が、不思議で堪らないんだけど






「じゃあさ、明日俺休みだし
俺ん家でうまいもん食わない？」





初めて誘われたご飯。

あの日以来の彼の部屋。

大きく揺さぶられる私の心を、気持ちを隠すように
粗大ゴミを手にしながらゆっくりと頷いた。

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