はちみつ色の日々 ２

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ぐるっと辺りを見渡してみるけど
どう見ても、自分のマンションと同じすぎて
また頭が混乱してきた。


なんで彼の部屋から出てきたのに
自分のマンションにいるわけ……？

グルグルとまだ痛む頭をフル回転させてると
いつの間にか追いかけてきてた彼が
腕を組みながら玄関ドアにもたれかかっていた。






「一人で帰れる？
うちどこ？」


「…………ここ、」


「え？」





ここの一番端っこの部屋は
確かに私の部屋なはずだもん。





「同じマンション……なのかも、」





振り返ってそう言うと
彼も私と同じように目を丸くしてる。

だってそりゃそうだよね、
自分の店の客が倒れてたのを助けて、
更にそれが同じマンションの住人だっただなんて。





「え？まじ？」


「うん、だって私そこの端の部屋だもん」


「……全然知らなかったんだけど」





私がここに越してきたのは三ヶ月前で
左右の人にしか挨拶には行ってないし
他の住人と会うこともなかったから
知らないのはしょうがなかったのかもしれないけど、

それにしたって偶然が過ぎる。






「んー、まぁでもこうやって知り合っちゃったわけだし
これからよろしくな？お隣さん」


「………隣じゃなくて、隣の隣の隣の隣だけど」


「細けぇな」





そう言って笑う彼の笑顔は
夜とはまた違う無邪気すぎる顔で
ホストをしてるだなんて想像もつかないくらい、幼くていい意味で普通だった。






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それからというもの
不思議なもので、一度こうして顔を合わせてしまえば
マンションで偶然会うことが増えていった。




「お、今仕事帰り？」


「うん。宏光………さん、は、今から仕事？」


「さん付けいいよ、宏光で」




仕事終わりの私と、これから仕事に行く宏光。

エレベーターだったり、駅までの道だったり
バッタリ会う場所はまちまちだったけど
会う度に声をかけてくれて、他愛もない話を繰り返すようになっていた。

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