はちみつ色の日々 ２

＊ ページ16

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「ビール飲む？」


「あ、ううん。お構いなく」


「だめ、飲んで」


「………はい、」





飲ませて何するつもりなのか、と
ビールを渡してきたみつを見上げてみるけど
ふふん、ってご機嫌に私の隣に腰掛けるだけ。

てか、こんな広い部屋なのに
わざわざ隣に座る意味とは。





「やっぱり……、芸能人なんだね」





沈黙が怖くてそう切り出すと
なにそれ、ってまた笑われるし。





「芸能人だろうがなんだろうが
俺は俺だもん、何も変わってないよ」


「嘘だぁ、変わったでしょ金銭感覚とか」


「変わってないって、俺そんな浪費しないし」


「炊飯器めちゃくちゃ高そうなのに？」


「それは……あれだよ。
未来の嫁の飯は美味しく食べたいじゃん？」


「…………へぇ、」





"未来の嫁"って。

そんな簡単に結婚なんて出来ないだろうし
結婚なんてされたらされたで、ショック……受けるだろうな。

自分がしといて何言ってんだって感じだけど。






「そんなことよりAはどうなのよ？
旦那となんかあった？」


「別にそんなんじゃな、

「あー、また癖発動してる」


「も、もうっ、見ないでっ！///」





もう無意識なもんだから
抑えることも出来なくて、心が丸裸にされてる気分。

慌てて両手を隠すように後ろに持ってくと
丸腰になってしまった私に一気に近付いてくる。






「昔みたいに頼ってよ、俺のこと」





私を真っ直ぐに見つめてくるその熱い視線から目を逸らせなくて
掬い上げるように奪われた唇。


熱くて、柔らかくて、少し苦いお酒の味。







「………苦い、」


「俺らの初キス、チョコケーキの味だったもんな」





大人になったんだよ、って
その言葉通り今度は大人のキスが降ってくる。

その柔らかい舌を感じながら思い出したのは
プロポーズされた時に、私の誕生日で食べてたチョコケーキ。






「辛いなら俺にしなよ。
全部忘れさせてあげるから」






結婚なんて名ばかりの形なんてもうどうでもよくて
私はもうきっと、みつだけでいい。

未来がなくても、明日が見えなくても
この温もりがあれば、十分幸せ━━。




━━Fin.




あすみ様リクエスト人妻でした。
既婚者相手だとカクシゴトが頭に浮かんでしまうんですよねぇ…。
リアル設定だったので
ドキドキしながら書かせていただきました！
あすみさん、ありがとうございました(＾＾)

次はホスト宏光との恋です〜！
未知の設定にドキドキですが、がんばりまーす♪

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