はちみつ色の日々 ２

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「あ、ていうかお会計！
いくらだったの？私も出すから」


「いいよ、もう払っちゃったし」


「ええ？でも私も結構食べたしっ」


「いいって、大スターに奢られとけ」


「……自分で言うんだ」


「いや、さっきお前が言ったんだろうが」





ふふ、って思わず笑いが漏れちゃって
お互い顔を見合わせて笑いあった。





「じゃあありがとう、ご馳走様でした」


「おう。
じゃあその代わりっちゃあなんだけど
この後うち来てくんない？」


「へ？」





うちきてくんない……？！

場所変えようかって言ってはいたけど…
みつの家？！？！





「あのさ、炊飯器買ったんだけど
全然上手く炊けねぇの」


「炊飯器？」


「うん。
分量通りに水入れてんのにベチャベチャなってさ」


「んー……お米の種類の問題かな？」


「だからちょっと主婦目線で見てみてよ」


「いや、でもっ」





行ってみたい気持ちと
行っちゃだめじゃんって気持ちが
今私の心の中で天秤にかけられてる。

お酒が入った状態で家に行くとか
炊飯器の水加減見るだけで終わる……？

でもここで断ったりしたら
もうみつとは会うこともなくなるかもしれない。



「……………、」



旦那もいるし、
会うことがなくなったっていいんだろうけど、
むしろそれが普通なんだろうけど………。








「ちゃんと話も聞きたいしさ。
まだまだ話し足りねぇし」




駄目なの？ってその目に見つめられれば
行っちゃダメって気持ちが、完全に負けてしまった。






「じゃあ……、ちょっとだけ」





聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った小さな抵抗は
確実にみつの耳に届いてしまって、嬉しそうに笑って見せた。

もうそれだけでキュンとする技を持ってること
きっと自分で知ってるんだろうな。






.







「ねぇ、これめちゃくちゃいい炊飯器じゃん！」


「え、そうなの？」


「こんないい炊飯器の攻略方なんて知らないんだけど……」





とっても綺麗にしてある部屋に
真新しい炊飯器が置いてあって、なかなかの高そうなもの。

とりあえず普通に炊いてみたけど
炊けるまでの間、無駄にソワソワしてしまう。

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