恋愛注意報

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「北山くん、大丈夫？」


「Aちゃんこそ平気？」


「うん、大丈夫。
寝てれば良くなると思う」


「そっか、良かった」






少し離して並べられた二つの布団。

その中にそれぞれ潜り込みながら
沈黙に耐えきれずそんな話をした。







「ごめんね、具合悪いのに私を引っ張るの辛かったでしょ？」


「まぁな、正直辛かった」


「もうっ、じゃあ言ってよ」


「あんなゼーゼーハーハーしてる人に言えねぇよ」


「そ、そうね確かに…」






今考えると体調が悪かったから
普通以上に辛かったのかも、とは思うけど
同じくらいの熱なのに
あそこまでリードしてくれてた北山くんが
ちゃんと男の子なんだなーって
少しだけ胸が疼いた。







「でもちょっとラッキーかも」


「え？」







布団から顔を出して隣に顔を向ければ
同じタイミングでこっちを見た北山くんと目が合った。








「二人っきりになれたし」


「……そうね、山を下る手間も省けたしね」


「朝までずっと一緒だし」


「……ほら、きっと明日の研修も受けれないから
家に返されるだろうしラッキーかもね」


「・・・」


「・・・」







”二人っきり”とか、”朝まで一緒”とか
そんな変なことを意識したくもなくて
わざと話を逸らすようにそう言うと
むくっ、と上半身をおもむろに起こした。







「ひっ、な、なにっ、？！」








そして少し近付いたその体に
思わず悲鳴にも似た声が出る。







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「手だけ繋いでていい？」


「え？」







少し布団をこっちに近付けると
また寝転んで、私の方に右手を投げ出してくる。








「何もしないから、っていうか出来ないから
手だけ繋いでよーよ。」


「で、出来ないからって……、」


「体が弱ってると、寂しくなんだもん」







ん、って更に右手を近付けてくるから
布団の中で左手をどうしようかとそわそわさせた。






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「あ、あのっ、手だけ…？」


「別に一緒に寝てもいいけ、
「いいいい、いらないっ！///」








そういう意味じゃないよ！って慌てて言うと
少し掠れた声で笑った。

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