恋愛注意報

３４ 玉森side ページ34

定時で仕事を終わらせて
わざわざ車を走らせてやってきたAの研修先のホテル。



この前言われた
”裕太がいるのに軽率なことはしない”って言葉。
あの言葉が嬉しすぎて、あの言葉の意味をちゃんと確かめたい。


ていうか、そういう事だよな？

なんだかんだで俺がいるから
他の人とはどうこうならない、ってことだよな？


考えれば考えるほどニヤけが止まんなくて
車の中でもずっーとニヤニヤしてたと思う。









「今回の研修は、なんだかんだで楽しいよ」


「へぇ、研修楽しいの？
前行った時は、つまんなかったって愚痴ってたのに」


「……そうだっけ？」







何回か研修に行ったAを知ってるけど
帰ってくると、疲れた〜って楽しそうな素振りなんて見せたことなかったのに…。






「もしかして今回の研修、さっちゃんと？」


「ううん、北山くん」


「え、北山？」







まさかバイトの北山と一緒に来てるだなんて思ってもなくて
楽しそうなAと北山の存在が繋がってる気がして、嫌な予感しかしない。


その時───、








.








「Aっ」







ホテルの方から
呼び捨てでAを呼ぶ声がして

その声の方に目をやると
少し息を切らした北山くんが駆け足で駆け寄ってきた。








「あれ？北山くん、どうしたの？」


「急にいなくなってんだもん
どこ行ったかと思ったし」


「……私の事なんて放っておいてたくせに」


「え？」


「いや、なんでもない」







俺なんて存在無視みたいに二人で会話をして
ふと北山くんと目が合うと、ペコっと小さく頭を下げられた。








「なんで玉森さん来てんすか？」


「ちょっと仕事で近くまで来たから」


「………へぇ。」






この丸ーい目に何もかも見透かされてる感。

こわい、こわい。

って、年下チビに怯んでる場合じゃないか。







.








「てかさ、Aそれ寒くない？大丈夫？
かなり薄着だと思うけど」


「そうなの、出てくる時急いでたから上着忘れちゃって」


「じゃあこれ着なよ、風邪ひいたら困るし」







スーツの上に羽織ってた上着を肩にかけてあげると
Aの小ささが際立って超絶可愛い。

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