欲しい愛と、知らない恋 ２

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「あーあ、俺も久しぶりに彩月姉ちゃんに会いたかったな」


「え？玉ちゃんも彩月さんのこと知ってるの？」


「そりゃもちろん。
あの二人と一緒に幼馴染みやってましたから」


「……そっか、そうだったんだ…」








そうだよね。
玉ちゃんとひろが昔から仲良しって言ってたんだから
必然的に玉ちゃんも彩月さんと幼馴染みってことになるか。

車の中、オシャレな音楽がかかってる車内なのに
気分が浮かない。落ち着かない。









「あれ？
てことは別に隠れて待ってなくても普通に来ればよかったんじゃない？」


「だって俺Aの彼氏ってことになってるんでしょ？
色々面倒じゃん、説明が」


「…なるほど」


「うっかりミツのペットだ、ってバレるのも面倒だろうしね。
あ、だから家に入る時も鉢合わせないように気をつけろよ、だって。」









・・・何それ、偉そうに。

どんだけ私を隠しておきたいのよっ！

説明が面倒ー？！
玉ちゃんには即答でペットだって紹介したくせに
綺麗な女の人には誤解されたくないわけですか！

ふーん、そっかそっか！
人妻とカクシゴトでもしちゃうわけ？！

そのためにペットが邪魔だから追い払ったと？！

さっき少しだけ緩んだモヤモヤが
また新たに復活して、助手席で一人悶々としていると、






「まーたその顔。」







と、不意に玉ちゃんにぶにゅっと頬を手のひらで挟まれた。









「へ？」


「また般若になってた」









信号が赤なのをいいことに
割と強めに頬を挟まれて、私の般若みたいな顔真似をするから
やめてよーって
その手のひらに自分のを重ねた。









「彩月姉ちゃんがなんで俺じゃなくてミツに会いに来たか分かる？」


「………え？」


「俺も幼馴染みなのに、ミツにだけ会う理由」









般若みたいな顔から一変
急に真面目になったそのトーンに、

知りたいようで、知りたくない。

だってどう考えても、気分が上がる雰囲気じゃない…。









「ま、これ以上Aの顔が怖くなったら困るから
続きは俺んちでねっ」








青に切り替わった信号と同時に
パッと離された手のひら。



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