欲しい愛と、知らない恋 ２

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「じゃあね、Aちゃん。
また機会があったら、一緒にご飯行こうね〜！」


「は、はい…」


「またな〜」








私を一人取り残して行ってしまったタクシー。

タクシーの中でも、私に手を振るのを口実に
ひろの方にギューギューに寄ってくっついちゃってさ！
なんなのよ、もうっ！！

おっぱ い当たってるよ、ばかーっ！！









───プップー、


そんなイライラを心の中でぶちかましていると
反対側の道路からクラクションの音が聞こえてきて
玉ちゃんが運転席の窓から、やっほーって手をひらひらさせていた。









「玉ちゃんっ」







え、早くない？

今ひろ達が行ったばっかりなのに。

タイミングいいな〜、なんて思いながら道路を渡って
玉ちゃんの車へと駆け寄った。









「さ、乗って乗って」


「うん、お願いしまーす」








促されるまま助手席に乗り込むと
前に乗った時と同じ、爽やかないい香りがした。









「玉ちゃん早かったね？」







シートベルトをつけながらそう言うと
玉ちゃんも自分のシートベルトをおもむろに付けた。







「だってここで待ってたもん」


「え？」


「こんな夜にAを一人にすんのは危ないから、って
俺がここに着いたの確認してから帰ったんじゃない？」







……そういえば、
やけにタクシーが来るのが遅かった気がする。









「……そうなんだ、」


「あ、今キュンとしたでしょ」


「べ、べつにっ」


「さっき二人のタクシー見送るとき
般若みたいな顔してたのに
今ちょっとニヤけたじゃん」


「ニヤけてないっ！
てか何！般若って！」


「んはは」







確かにイライラしてたけども！

般若……、みたいな顔してたのかな…。



思わぬひろの優しさを知ってしまったから
窓ガラスに映る自分の顔を見つめて
少しだけ反省した。

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